今思えば、最初から伝えたいことはひとつだったのかもしれない―― 相坂優歌『屋上の真ん中 で君の心は青く香るまま』リリースインタビュー

ただ音を感じて、音の世界に浸ってもらえるライブを作れたら

――さて、そのほかの新曲についてもお聞かせください。まずM4の「Insomnia」は、どこかクラブの光景が浮かぶ楽曲ですね。

相坂 この曲は『甘城ブリリアントパーク』のときにお世話になった宅見将典さんに書いていただいたんですけど、曲を聴いたらミラーボールの光の中、音にオシャレに浸りながら体を揺らしてる男女の姿が思い浮かびまして。私、クラブに行ったことがないので完全にイメージなんですけど。

――だからかもしれないのですが、ほかの曲よりも歌声にけだるさのようなものを感じました。

相坂 そういうオトナ感みたいなものや、“不眠症”の持つゆらゆら感みたいなものも表せていたら、と思っています。

――歌詞は、同じく『甘ブリ』や「透明な夜空」の歌詞を書かれた山本メーコさんが担当されています。

相坂 私、メーコさんは「かわいいだけじゃない女の子感を表現させたら天下一品」だと思っているので、この曲でもぜひそういったものを表現してください、とお願いしました。「地球滅亡の瞬間 君といたい」っていう部分では女の子の恋すると結構極端になっちゃう感情を本当に上手に表現されるなぁと感じましたし、「こんなふうに女の子に悶えてほしいなぁ」って皆さんには思っていただけたらいいなと思いますね。

――そしてM5「今はここに」は、2月10日公開『コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道』の挿入歌に起用されています。

相坂 まず歌詞を、監督の谷口(悟朗)さんに書いていただけた点だけでも「すげー!」という感じで。それに沖野俊太郎さんの切ないメロディも素敵なので、そのタッグに自分も負けずに、でも自己主張を激しくせずに世界を表現できるように、挑戦した1曲です。

――ゆっくりな曲調に合わせて、少々たっぷりめに取られて歌っているように感じました。

相坂 そうですね。この曲は作中で登場人物が辛い想いをしたときにかかる曲なんですけど、私はレコーディングしてても歌声が走り気味になるクセがあるので、焦らずに、劇場でこの世界にみんなが浸れるように歌いました。

――ここまでアコースティックな曲も、初めてですよね。

相坂 はい。このアルバムではいちばん優しい曲になっているとも思いますし、一度チャレンジしたかったっていう気持ちはあったので。でももっと、練習が必要だなと思いましたね。

――気持ちの込め方とかも、結構シビアに表れてしまいますからね。

相坂 そう、いろんなことがバレちゃうんです。だから余計に、一瞬も気を抜けないという難しさがあると思います。

――続くM6「翡翠蝶の棲む処」は、曲を提供されたALI PROJECTの世界観全開の1曲です。

相坂 実はこの曲は、私の知らないうちにスタッフさんがアリプロさんにオファーしてくださっていたんです。というのも私、いろんなところで「中学生のときに学校放送で『聖少女領域』を聴いて雷に打たれたような衝撃を受けて、自分の自信に繋がるのかなと思って歌の練習をし始めた」っていうお話をしていまして。それで私の担当ディレクターがたまたまアリプロさんの担当ディレクターでもあったので、「“ルーツを辿る旅”として、これは外せない」ということでオファーしてくださったんです。

――やはりアリプロ曲らしく、メロディが非常に難解な曲ですよね。

相坂 そうですね。歌ったときはこの世界を壊したくないなという気持ちもありつつ、自分の色も少しでも濃く出せたらという想いもあったので、ちょっとロックに歌い上げてみたりとテイクごとにちょっと歌い方を変えてみたりもしました。ディレクションもセレクトも宝野アリカさんがしてくださったことで、よりアリプロさんの世界に寄り添ったものになったかなと思っています。

――サビ終盤の駆け上がっていくメロディ部分でのハイトーンの歌声と、サウンドとの相性がとても良かった印象があります。

相坂 本当ですか?私の普段の歌い方だと合わないかなと思って、この曲に合うハイトーンを探しながらレコーディングしていたので、そう思っていただけるなら本当によかったなって思います。

――そしてカップリング三部作を挟んでのM10「Anti Geometry」は、本当にタイトル含めていびつで不器用な人に向けての歌に感じました。

相坂 作詞の森永真由美さんも作編曲のAnother Infinityさんというユニットのことも元々存じ上げていたんですが、キラキラ感の中にある美しい憂鬱さみたいなものを上手に表現される方々なんだなと思って、今回このタッグにお願いしたいなと思ったんです。

――がってきた曲や歌詞に触れて、どう感じられましたか?

相坂 このアルバムのコンセプトのような想いを抱えている人はたぶん人一倍ピュアなんだ、というのをすごくきれいな言葉で表現してくださっていますよね。楽曲も、切なさの中に激しさや心の疼きみたいなもののある、すごくいい曲だなぁと思いました。

――それは歌声にも出ていると思います。サウンドの盛り上がりとは裏腹に、歌声が消え入るようになっていく部分もあったりして。

相坂 歌詞で言うと「生き抜く果てよりも」から始まる部分ですよね。実はこの曲、1-A→1-B→2-B→2-Aっていう難しい構成なんですけど、私はAメロはAメロ同士で同じ人物を描写しているようにとらえたほうがいいのかなと思っていて。1-Aでは結構つらそうにしている人なので、2-Aでも曲自体は盛り上がっているんですけど、疲れてしまった雰囲気を出して歌うべきだなと思ったんです。でもこの曲は1曲を通して同じ人物を描いているととらえる方もいると思いますし、私もそれはそれでいいとも思うんですよね。

――続くM11「Prime Point」は、サウンド的にはキラキラ感のある曲です。

相坂 はい。俊龍さんと深青(結希)さんは、私の初TVアニメ出演作品の『桜Trick』の「おはモニ*ハロりん」というキャラソンでお世話になったおふたりなので、ぜひお願いしたいなと思いまして。俊龍さんの春風を思わせるような爽やかでかわいらしいメロディに合うような、でも甘すぎない歌詞を深青さんが書いてくださって、そのバランスがすごく光っている作品だなと思います。でもその分、歌声でバランスをとるのが難しい曲でもありました。

――とてもキャッチーな曲ではありますが、歌詞を文字情報として見ると聴こえ方が全然変わってくると思うんです。サウンドはここまでとガラリと変わっても、メッセージの面ではアルバムのコンセプトからブレていないので。

相坂 そうですよね。この曲は本当に希望にあふれた言葉をつけてくださっていて……「そのままでいいよ」っていう、私がずっと言いたかったことを深青さんの言葉で表現してくださっているんです。

――この曲があるからこそ、最後の「ひかり、ひかり」がこれから続いていく日々へのプロローグのように感じられて、より活きるような印象がありました。

相坂 ありがとうございます。曲の並びも一緒に考えさせていただいたんですけど、「ひかり、ひかり」はやっぱり最後に持っていきたいという想いをずっと持っていたのもあって、自分的にもいい流れだなと思っています。

――このアルバムを引っさげて、4月5日には初のワンマンライブを開催されます。このライブで、相坂さんはどんな空間を作りたいと思われていますか?

相坂 具体的にはまだ何も決まっていないんですが、「ただ音を感じてもらえたらいいな」という想いがあります。私は曲を聴くときは、音に浸って、溺れて、その世界に飛び込みたいなって思っているほうなんです。だから自分がライブに行ってもずっとじーっとアーティストを見つめて、とにかく音を感じたい、音をひとつも取りこぼしたくない、みたいな想いでその場にいるんですよ。なので、ぜひ皆さんにもそんな想いで来ていただけたらなと思っていて。しかも今回は生バンドなので、サウンドもその場でしか感じられないものになると思いますし。

――これまで歌ってきた曲に対しても、違う印象が生まれるかもしれませんね。

相坂 そうですね。ただテンションが上がりすぎちゃって失敗しないように(笑)、自分もちゃんと音を感じながら歌って、ライブを楽しみたいです。でもやっぱり、皆さんのことを想ったステージにしたいというのがいちばん根底にある想いで……だからまだ何も決まってないのにTwitterでもわーわー言っちゃってるんですけど(笑)。とにかく今は、楽しんでもらいたいという一心だけですね。

Interview & Text By 須永兼次


●リリース情報
『屋上の真ん中 で君の心は青く香るまま』
1月31日発売

【初回限定盤A(CD+Blu-ray)】

品番:VTZL-138
価格:¥3,900+税
<Blu-ray>
「瞬間最大Me」(大森靖子提供楽曲)MVのほか、これまでのシングル曲MVをHD画質で収録したBlu-ray付属。

【初回限定盤B(CD+フォトブック)】

品番:VTZL-139
価格:¥3,500+税
※撮り下ろし写真集となるフォトブック付属。

【通常盤】

品番:VTCL-60460
価格:¥2,900+税

<CD>
・瞬間最大me(※アルバムMV曲)
作詞・作曲:大森靖子 編曲:大久保薫
・透明な夜空(※TVアニメ「アクティヴレイド-機動強襲室第八係-」ED)
作詞:山本メーコ 作・編曲:鴇沢直
・セルリアンスカッシュ(※TVアニメ「アクティヴレイド-機動強襲室第八係-2nd」OP)
作詞:相坂優歌:作・編曲:鴇沢直
・Insomnia
作詞:山本メーコ 作・編曲:宅見将典
・今はここに(※「コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道(はんどう)」挿入歌)
作詞:谷口悟朗・沖野俊太郎 作・編曲:沖野俊太郎
・翡翠蝶の棲む処
作詞:宝野アリカ 作・編曲:片倉三起也(ALI PROJECT)
・Look back
作詞:相坂優歌:作・編曲:鴇沢直
・Dependence
作詞:相坂優歌:作・編曲:鴇沢直
・Impulse
作詞:相坂優歌:作・編曲:鴇沢直
・Anti Geometry
作詞:森永真由美 作・編曲:Another Infinity
・Prime Point
作詞:深青結希 作曲:俊龍 編曲:Sizuk
・ひかり、ひかり(※TVアニメ「ネト充のススメ」ED)
作詞・作曲:尾崎世界観(クリープハイプ)
全12曲収録

※初回限定盤A・B、通常盤いずれにも2018年4月5日(木)Zepp DiverCity Tokyo開催の相坂優歌1stワンマンライブ優先先行予約シリアルナンバー封入。

●ライブ情報
“相坂優歌ファーストライブ「屋上の真ん中 で君の心は青く香るまま」”
2018年4月5日(木) 開場 18:15/開演 19:00
Zepp DiverCity Tokyo

チケット代金:全席指定
前売:¥5,500 当日:¥6,000(税込・ドリンク代別¥500)
※本アルバムに優先先行予約シリアルナンバー封入。※抽選

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