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2017.11.12

ツアーの終着駅は、次の物語への始発駅。 “ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR”埼玉公演レポート

ツアーの終着駅は、次の物語への始発駅。 “ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR”埼玉公演レポート

9月29日・30日に“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR”埼玉公演がメットライフドームにて開催。TVアニメ2期の放送を目前に控え、Aqours(伊波杏樹(高海千歌役)、逢田梨香子(桜内梨子役)、諏訪ななか(松浦果南役)、小宮有紗(黒澤ダイヤ役)、斉藤朱夏(渡辺 曜役)、小林愛香(津島善子役)、高槻かなこ(国木田花丸役)、鈴木愛奈(小原鞠莉役)、降幡 愛(黒澤ルビィ役))の9人は、2nd LIVEツアーを経てより輝きを増したパフォーマンスを私たちに届けてくれた。本稿では、そのうち2日目の模様をお届けする。

開演時間を迎えたメットライフドーム。照明が落ち、流れたOP映像には「Aqours」と鑑札の貼られた機関車が登場。そして「埼玉」と書かれた駅舎に急ブレーキで停車……せずにそのまま突っ切ってしまうと、その機関車は9人を乗せて現実のステージに登場。そのままツアータイトルにも冠した3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」で、Aqoursのステージがスタートする。冒頭1曲目にもかかわらず、最高のパフォーマンスを発揮したセンターを執る諏訪。その諏訪がソロを執る落ちサビでは、アニメーションPVよろしく花道からセンターステージに向かってエメラルドグリーンの光がサーッと伸びていき、アニメーションPVと現実とのリンクを感じさせる。加えてラスサビ明けの、小林・高槻のコーラスフェイクも美しい。
そこから一転キュートに振り切ったのが、続く「Pops heartで踊るんだもん!」。曲のはじめにステージ上に9人が散らばると、LEDモニターにも映ったコールで観客は大盛り上がり! 1サビのラスト、カメラに抜かれた瞬間にうまくキメの入った降幡が観客のハートを射止めると、2コーラス目に入ってもテンション高くよく跳ねる。彼女以外にも全員の動きがキレそのままに大きくなっていたのは、大会場での経験が活きた点だったのだろう。

曲明けのMCパートでは全員が自己紹介。観客を巻き込みつつそれぞれのアプローチで意気込みを届ける一方、自己紹介後には突然その場に逢田が倒れ、「本番前にサンドイッチを食べすぎて、口の中がパサパサなの……」と語り高槻から水をもらう……という、観客に適度な給水を薦めるためのファンには定番の小芝居も繰り広げられた。

MC明けの「少女以上の恋がしたい」では、伊波のパフォーマンスが出色。冒頭のソロを愛らしく歌い観客をとりこにした彼女は、大サビ前にカメラに抜かれると、その腕の動きに合わせてメインスクリーンに大きなハートマークが描かれ、大歓声が彼女を包む。

続く『デュオトリオコレクションCD VOL.1 SUMMER VACATION』の楽曲ゾーンは、曲順通り逢田・高槻・鈴木による「夏への扉 Never end ver.」からスタート。冒頭から元気いっぱいに飛び出す3人と一緒に会場中がコールとともに盛り上がり、サビの締めにかわいらしくもダイナミックにジャンプを決める鈴木の姿も、観客の視線を引きつける。また、2サビにはそれぞれがトロッコに乗り、場内を疾走。間奏では笑顔をはじけさせながら水鉄砲を観客に発射したりと、楽しい楽しい1曲に。

かと思えば、続くはラテン調の「真夏は誰のモノ?」。センターステージからリフトUPで、フェニックスをイメージしたおそろいのセクシーな衣装に身を包んで黒澤姉妹が登場。小宮のパフォーマンスは実に艶やかで、ルビィらしさを残しつつも大人っぽく彼女とペアダンスを展開する降幡の姿もまた、これまでにない魅力を放つ。そのペアダンスではふたり手を重ねたり、不意に顔が急接近したりとドキリとさせるシーンも満載だった。

すると今度は、スタンド通路のトロッコ上に、ウクレレ片手に斉藤・小林が登場。トロピカルな「地元愛♡満タン☆サマーライフ」の披露である。ふたりとも笑顔でスタンドのファンと視線を、そして「じ・も・あい!」コールを交わしながら場内を移動し、楽曲のラストには合流し曲通りの掛け合いをきゃいきゃいと見せてふたりでハートマークを作って締め。ふたりの仲の良さの垣間見えるエンドを迎えた。

そしてメインステージ壇上に伊波が、センターステージに諏訪が登場しての「夏の終わりの雨音が」へ。ふたりとも、頭サビ明けにはEDMに映えるダンサブルなステップを軽快に踏んでいき、2コーラス目にメインステージで合流。左右対称なダンスを歌声とともに披露していく。また、落ちサビ前の互いのセリフ裏での全開のダンスはこの曲の見どころのひとつ。腰の入り方の深さや不意の屈み方のダイナミックさなど、自らも魅せつつ互いを引き立てる1曲となっていた。

曲明けには再び全員がステージに集合。それぞれのパフォーマンスの見どころや衣装について改めて振り返りや解説を行ったところで全員一旦降壇。ライブ恒例、幕間映像でのボイスドラマは、今回はいずれもレオライナーで球場前駅に到着した9人が繰り広げる会話をフィーチャーしたものに。


さて、ライブ中盤戦はTVアニメ1期のストーリー上で初めて9人が揃って披露した「未熟DREAMER」からスタート。背負ったメインスクリーンに映し出されるアニメーション映像とドームに立つ9人の姿が、改めて結び付けられる。落ちサビ前にて9人が華麗なフォーメーションを展開するシーンは、ユニットゾーン直後だからこそより“9人の力”を感じさせるパート。また、センターに位置取った鈴木・小宮・諏訪の3年生トリオが、その並び通りにひとりずつ3つのモニターに映されたのはこの曲ならではのアツい演出だった。その光景を彩るオレンジの光は、流れ始めた水音で一気に青に様変わり。「恋になりたいAQUARIUM」の始まりだ。センターを執る斉藤は、冒頭のスピンをビシッと美しくキメて空気を作ると、大きく楽しくステージを躍動。落ちサビでは今度は花道にブルーの光の道ができ、そこを歩き来るその堂々さからは、かわいさに加えてどこかかっこよさまで感じるものに。そこで笑顔とともに全開で放ったボーカルからは、彼女自身の気持ちの乗り具合も伝わってきた。

曲明けのMCも引き続き斉藤主導で展開。久々の披露となった「未熟DREAMER」やツアーで初お披露目となった「恋になりたいAQUARIUM」の衣装の話題を経て、高槻・降幡が引っ張る形でコール・アンド・レスポンスでさらに会場のボルテージをUP。最後に斉藤が「ここからはさらに全速前進ヨーソローで突っ走っていくので、ついてきてくださいね!」と意気を上げる。

そして小林による「Daydream Warrior」のタイトルコールから、会場は暗転。イントロでの、各メンバーがそれぞれのカラーに染まったLEDを背にしたシルエットダンスで再び“Aqoursのライブ”へと観客を惹き込んでいく。その小林のダンスの切れ味は一級品で、2サビ明けに伊波・斉藤を交えてのダンスタイムでのすさまじさには思わず惚れ惚れとしてしまった。そのまま続けて「私たち、輝きたーい!」との伊波のシャウトから幕を開けたのが「スリリング・ワンウェイ」。センターステージへと全員が駆け出していくと、そのまま最後まで全員が全力のステージを展開。なかでも間奏でキレまくる逢田のダンスや、ソロでスポットライトに当たりながら力強く歌い上げた鈴木の堂々とした姿が印象的だった。

再度の幕間映像後を飾ったのは、CYaRon!の「近未来ハッピーエンド」。ステージ上にフラッグを手にして登場した彼女たちは、2サビ明けにもそれを用いたパフォーマンスを披露。1-Aメロから決めどころであざとかわいさを外さない伊波が観客を食いつかせると、3人らしい元気いっぱいのステージがさらに場内のボルテージを上げる。

続くAZALEAは彼女たちらしいEDM「GALAXY HidE and SeeK」で、それよりもちょっと大人っぽくかわいらしさを発信。少々オトナに2-Aメロを歌い上げた高槻のボーカルに、少しドキリとさせられる。またこの曲でも小宮が腕で描いたハートがスクリーンに映り、そのまわりにサビラストの歌詞が記され、最後にはそれぞれがトロッコに乗り込み、“トリコリコキャンディー”を振りながら恋心をプレゼントしていく。

そしてメインステージ中央にGuilty Kissが登場。メインスクリーンにユニットロゴが映され、そこにヒビが入り砕け散ると「コワレヤスキ」のスタートだ。このユニットらしいヘヴィなナンバーを、スタンドマイクを前に力強く歌う3人。1-Bメロを力強く歌いグッと観客を惹き込む逢田に、特に2サビで眼光鋭く楽曲に入り込む鈴木の姿も印象深い。小林の2サビ明けに高らかにフェイクを歌い上げて場を沸かせた彼女の表情は完全に堕天モード。歌いきってからのにんまりとしたしてやったり顔も、“ヨハネ”以外の何者でもなかった。

ツアーのメイキング映像を挟むと、今度はメインステージ段上に9人が勢揃い。TVアニメ1期のオープニング主題歌「青空Jumping Heart」で一気に会場のテンションはUPする。とにかく現実に広がる光の海の輝きと歓声の大きさがすさまじく、普段とは逆に、現実の光景にアニメーションが近づいていくような錯覚さえ覚えるほど。また、終盤に2年生組がより目を引いたのがこの曲。2サビ明けの逢田の輝く笑顔と、ラスサビでこの日マックスに高く跳び出していく斉藤。しかしその魅力を発揮させたのは、伊波が確固たるセンターとしての存在感を見せつけていたからだろう。また、続く「SKY JOURNEY」はまさに9人の団体戦。ツアーで初お披露目となったこの曲では、サビで9人が横一列に並ぶシーンはピタリと振付が揃い、間奏のダンスタイムになってもその一体感はどこも崩れないという完成度の高いものに。

そしていよいよライブも大詰め。9人で「MIRAI TICKET」とのタイトルコールがなされ、いよいよラストブロックが始まる。TVアニメ1期の第13話のように9人の立つセンターステージがせり上がり、1サビ後には全員が高く高く跳び上がる。その姿からは、希望しか感じられない。そして伊波が、TVアニメでの千歌と同じように「みんなー! 一緒に、輝こうー!!」と呼びかけ希望をメットライフドーム中に広げた。TVアニメ同様、メインステージにいの一番に駆け戻ると、全員がメインステージに揃ったところで後奏のラララの大合唱。1stライブよりもより見やすい形で、名シーンを現実のステージで表現してくれた。
そうなれば、ここに続くのはあの曲しかない。「『君のこころは』?(伊波)」「『輝いてるかい?』(会場全体)」のコール&レスポンスから、その本編ラストナンバーは幕を開ける。1stライブと同じラスト2曲の流れではあったが、この大会場においては盛り上がりはさらに大きなものに。ツアーを通じたさらなるブラッシュアップが感じられたこの曲は、1stライブ以上の輝きを放っていた。

アンコールアニメでは会場中の「ア・ク・アー!」コールで機関車の燃料を満タンにしたところで、そのお礼のアンコールに突入。センターステージには9人が、メインステージには沼津からのスペシャルゲスト・うちっちーが登場し「サンシャインぴっかぴか音頭」で今年最後の夏祭りがスタート。センターステージは櫓のように幾層にも分かれてせり上がっていき、その最頂点で伊波が和太鼓を叩く。また、民謡経験者・鈴木の節回しも、より夏祭り感を醸し出していた。

曲明けのお知らせコーナーでは、Aqoursとμ’sのメンバーが交互にリレー形式でセリフのやり取りを行う『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS(略称:スクスタ)』のスペシャルボイスPVが上映。さらには、来年初夏に大阪城ホール、マリンメッセ福岡、そして再びのメットライフドームをめぐるAqoursの3rdライブツアーが開催されることも発表になり、告知コーナーにも関わらず割れんばかりの歓声が場内を包みっぱなしに。

さて、本当にラストの近づくこの日のライブ。各メンバーからコメントがひと言ずつ述べられる。3rdライブツアーの発表があり、TVアニメ2期の放送も間近ということで前向きな言葉が並び、それをリーダー・伊波が締めくくる。

改めてゼロをイチにできた1stライブからこれまでを振り返り、今この光景を目にすることへの幸せを語る。そして「これからも、一緒に輝きを見つけに行ってくれますかー!?」の問いかけに大歓声を受けると、思わず「うれしくない!?」と8人のメンバーに自然に声をかけ、9人でその反響を感じられることへの喜びを表す。こうして自然にリーダーとして9人で喜びを共有した彼女は、同時にAqoursとファンを繋ぐ架け橋ともなり、最後には「3rdツアー、絶対ビックリさせるから!」と力強い言葉で挨拶を締めくくっていった。この熱さと、時折見せるふにゃっと愛嬌のある表情をあわせ持った彼女は、やっぱりAqoursのよきリーダーだ。


続く「太陽を追いかけろ!」でトロッコへ向かうメンバーの行進を先導するのも、やっぱり伊波。そのトロッコに乗ってのお礼の周回では、サビで指で“L”の字を形作ってワイパーし、この作品の感謝の想いを伝え場内と一体となる。そしてそのまま、笑顔で仲間と楽しみながら「Landing action Yeah!!」でライブを締めくくるAqours。Next Step! Projectのテーマソングであるこの曲でも観客と一体となり楽しみ尽くすことに重点が置かれていたように見え、小宮・降幡が本当の姉妹のように仲睦まじい姿を見せれば、先ほど持ち歌でもじゃれあっていた斉藤・小林が再びペア感を見せるなど、2曲で場内の運行を完了。落ちサビを前に、このツアーらしく「“HAPPY PARTY TRAIN”にご乗車いただきまして!(諏訪)」「ありがとうございましたー!(Aqours)」と改めて感謝を伝え、落ちサビは観客も交えての大合唱。こうして9人とファンの、約2ヵ月にわたる旅は終点に到着。9人を乗せたHAPPY PARTY TRAIN号は沼津へ向けて、ステージ奥へと消えていったのだった。

終演後、ドームの屋根にはグリーンのレーザーで「ご乗車ありがとうございました」の文字が。ステージは終わっても会場から退出する最後の一瞬まで感謝を伝えようとしてくれようとする演出に、うれしさを感じた観客は少なくなかったのではないだろうか。

ツアーという長旅を終えたAqours。この夏はツアーはもとより9人で多数のステージに立ち、様々な場面でその絆は深まったことだろう。そんな夏を経て始まるTVアニメ2期。そしてその先に開催される3rd LIVEツアーと、これからも彼女たちは観るたびに目をみはるような進化を見せてくれるはず。そう、この日のメットライフドームはツアーの終着駅でもあり、同時に“これから”への始発駅にも姿を変えたのだった。

Text by 須永兼次

“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR”埼玉公演 Day2
2017.09.30@メットライフドーム
【SET LIST】
M1.HAPPY PARTY TRAIN
M2.Pops heartで踊るんだもん!
-MC1-
M3.少女以上の恋がしたい
M4.夏への扉 Never end ver./桜内梨子(CV.逢田梨香子)、国木田花丸(CV.高槻かなこ)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)
M5.真夏は誰のモノ?/黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛)
M6.地元愛♡満タン☆サマーライフ/渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、津島善子(CV.小林愛香)
M7.夏の終わりの雨音が/高海千歌(CV.伊波杏樹)、松浦果南(CV.諏訪ななか)
-MC2~幕間映像①-
M8.未熟DREAMER
M9.恋になりたいAQUARIUM
-MC3-
M10.Daydream Warrior
M11.スリリング・ワンウェイ
-幕間映像②-
M12.近未来ハッピーエンド/CYaRon!
M13.GALAXY HidE and SeeK/AZALEA
M14.コワレヤスキ/Guilty Kiss
-キャスト映像-
M15.青空Jumping Heart
M16.SKY JOURNEY
-MC4-
M17.MIRAI TICKET
M18.君のこころは輝いてるかい?
-アンコールアニメ-
EN1.サンシャインぴっかぴか音頭
-MC5-
EN2.太陽を追いかけろ!
EN3.Landing action Yeah!!

©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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