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REPORT

2017.07.28

5年半の活動を締めくくる感動の2日間!Rayファイナルライブ“RAYVE FINAL”2DAYSレポート!

アニソン・シンガーとしてデビューから約5年半を駆け抜けてきたRayのラスト・ライブ“RAYVE FINAL”が、7月22日(土)と23日(日)に東京・文京シビックホールにて実施された。1日目はゲストを迎えて、2日目はソロで構成を変えて行われた今回の公演をもって、Rayはアーティスト活動を卒業。両日共に3時間半にもおよぶステージで30曲以上もの歌を届け、集大成となる渾身のパフォーマンスで有終の美を飾った。

今年1月、突然のアーティスト活動卒業を発表したRay。地元の北海道で歌手になることをめざして地道な活動を続け、2012年2月にアニメ『あの夏で待ってる』のOPテーマ「sign」でメジャー・デビュー。その夢を掴んだ彼女だが、卒業発表に伴うコメントのなかで「もうひとつの大きな夢ができ、挑戦したいと思うようになりました」と綴り、新しい夢を追うための卒業であることを明かした。もちろんその決心に至るまでには、深く思い悩んだことだろう。下積みの経験を持つ彼女であれば、自らの思い描く夢をかなえることがいかに困難であり、生半可な努力で実現できるものではないことを知ってるはずだから。だが、彼女は決断した。歌手という自分がかつて夢見てなった仕事に区切りをつけてまで、新しい夢に挑戦することを。その目標に向けて真っ直ぐに突き進む意志の強さと飽くなきチャレンジ精神こそが、Rayというアーティストの本質であり、魅力なのだということは、今回の“RAYVE FINAL”のステージにもはっきり表れていたと思う。

公演1日目の幕開けを飾ったのは「Over ride」。ファースト・アルバム『RAYVE』(2013年)でも1曲目に置かれていたトランシーなアップ・チューンだ。イントロが流れた瞬間から約1,800人のキャパを誇るホールいっぱいに詰めかけた観客が一斉に沸き上がり、二段組のステージ上段に登場したRayの姿に観客のボルテージはさらにワンランク上へと跳ね上がる。衣装はベスト盤『Happy days』(2017年)のアートワーク周りでも着用していた、青色をベースとしたドレス。低音の効いたAメロから一気に高音パートへと駆け上がるサビの上昇感で見事にテイクオフしたあとは、間髪入れずに妖艶なメロディーの「twin portion」でアッパーに畳みかける。Rayの「楽しんでいきましょー!」という声に歓声もひときわ大きくなり、続く「protostar ~あの日のワタシ~」で会場をブライトな雰囲気に塗り替えてMCへ。

「すごいよね、ステージに羽が生えてるんだよ!」とうれしそうにはしゃぐRay。その言葉どおりステージ中央の階段の両脇には大きな翼の形をした飾りがあしらわれており、Rayとそのファンの未来への羽ばたきを象徴するかのよう。ステージ下段には、バンドマスターの宮崎京一(ギター)を筆頭に、AYUMU(ギター)、目黒郁也(ベース)、野崎洋一(キーボード)、村田一弘(ドラムス)という腕利きプレイヤーたちが並ぶ。そしてRayの「明日のことは何にも考えずに、今日すべてを体力を絞り出していく勢いで一緒に楽しんでいきましょう!」という宣言に続いて、ダンサブルな人気曲「As for me」へとなだれ込み、4人のダンサーを従えたダンス・パフォーマンスと情熱的な歌声で盛り上げていく。

感傷を微塵も感じさせない華やかで力強いステージが目立った1日目の公演において、特筆すべきはやはりゲスト・アーティストの参加だろう。この日の最初のゲストとして呼び込まれたのは、Rayに多数の楽曲を提供してきたI’veのクリエイター、中沢伴行だ。彼のキーボード演奏を交えて演奏されたのは、中沢がアニメ『凪のあすから』のための楽曲としてRayに書き贈った名曲たち。ステージ後方のスクリーンに海の映像が映し出された「凪 -nagi-」、曲終盤での一面オレンジのサイリウムが生み出す幻想的な光景が印象深い「ebb and flow」、海上を滑るような爽快さが広がった「lull~そして僕らは~」で夢の共演を実現させた。さらにもう1曲、彼がベスト盤用に書き下ろした新曲「マリンスノー」も披露され、ミラーボールが照らし出す雪景色のような光のなか、Rayの「最強のエモ曲」という言葉にふさわしい穏やかなエモーションが会場に満ちていった。

ここでバンドのジャム・セッションが挿まれ、Rayは純白のドレス姿にお色直し。ハッピー感に溢れた「Wonderful Catcher」で会場との一体感を生み出し、「ここから怒涛の感じくるけどいい?」とのMCに続いて「ココアポット・シティ」「baby♡macaron」などの楽しいダンス・チューンを連発していく。そして2組目のゲスト、Luce Twinkle Wink☆とのコラボへ。『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』や『うらら迷路帖』などのテーマ曲を歌う5人組アイドル・グループで、Rayとはレーベルメイトでもある彼女たち。

まずは「やわじゃないDID!!-Catch me! To LOVEる-」を共にして切れ味鋭いダンスとかわいらしい笑顔で魅せると、メンバーは口々に「Rayさんと一緒に歌えることができて本当に幸せです!」と感激を表す。さらにここで、彼女たちが9月6日にリリースするニュー・シングルのカップリング曲の作詞がRayであることをサプライズ発表!「元気なパワフルさが夏を感じさせる、踊ってるときの汗をパッと散らすステージを思い浮かべながら歌詞を書きました」(Ray)というその楽曲「Treasure」を、Rayを含めた6人で初披露した。ダンスのシンクロ度はもちろん、落ちサビはRayがソロで歌唱するなど息ぴったりのパフォーマンスで、Luceが6人組グループと錯覚してしまうほどのハマリ具合だった。

続いて「Recall」などロッキッシュな3曲を挿み、3組目のゲストとして登場したのは、Rayと同じ事務所の一二三所属で、レーベルメイトでもある黒崎真音。かつてふたりでラジオ番組のパーソナリティを務めていたこともあり、黒崎はRayを優しく抱擁して頭を撫でるなど仲の良いところを見せる。最初に歌われたのは、黒崎が作詞をした慈愛に満ちたバラード「契 -この広い広い、時空を越えて-」。ふたりの希望に溢れた歌声の絡みが素晴らしく、落ちサビでの“君に会えて良かったよ”というフレーズにグッときた人も多かったはずだ。その後のフリートークでは、Rayがこの曲の黒崎が仮歌を吹き込んだバージョンを大切に聴いていたことを明かすと、黒崎が「私が歌うと大人っぽ過ぎるのか海辺のスナック感が出てしまって(笑)」と返したり、「Rayちゃんは良い意味であざとい才能がある」(黒崎)と発言してRayを動揺させるなど、親密感のある会話で和みムードへ。最後は「脳天KICK VOICE」の力強くも艶っぽい共演で会場を熱狂させた。

そして最後のゲストとして迎え入れられたのが、Rayをデビュー前から見守ってきた存在であるI’veの高瀬一矢。アニメ『蒼の彼方のフォーリズム』のEDテーマだった「a-gain」などの提供曲を、自身もキーボードの演奏で加わって披露していく。高瀬は「Rayちゃんは歌に関しては本当にテクニシャン」「(卒業については)納得いかないところはいろいろありますけど(笑)」といった奔放なトークで沸かせつつ、ベスト盤のために書き下ろした新曲「♡こゆび姫♡」、さらにライブ本編ラストの曲となった『To LOVEる -とらぶる- ダークネス』のOPテーマ「楽園PROJECT」にも参加。特に後者のサビ部分ではキーボードを弾きながらノリノリで振り付けも披露し、Rayとの最初で最後の共演を賑々しく盛り上げた。

その後のアンコールは、デビュー曲「sign」でスタート。白のTシャツと水色のふわふわスカート姿に着替えたRayは、ライブが始まってすでに3時間歌いっぱなし&踊りっぱなしとは思えない程の安定した美声で、青空の広がるような景色を描き出していく。さらに弾むリズムと幾重にも重なるハーモニーが飛翔感を生んだ「双翼のエトワール」で翼をはためかせると、この日最後のMCで卒業を目前にしての気持ちを素直に伝える。

「最後のステージで素敵な人たちとコラボすることができたのも、みんなの応援のおかげだと思ってます。Rayという存在は卒業してしまいますが、いままで歌ってきた楽曲たちはこれからもずっと残っていきます。(川田)まみさんに書き下ろしていただいた「マリンスノー」の歌詞にもありますように、思い出は降り積もって消えない雪になって、ずっと消えません。Rayの楽曲もずっと残り続けます。なので、これからもずっと長く長くRayの楽曲を愛していただければと思います」(Ray)。

そして届けられたこの日のラスト・ナンバーは「My Future」。いつまでも夢を忘れることなく追いかける気持ちと、未来への希望を歌った曲だ。明るいピアノの音がアクセントとなった陽性のロック・サウンドをバックに、Rayの伸びやかな歌声が高らかと響き渡り、会場全体がポジティブな空気に包まれていく。〈手を伸ばせば届きそうな空に〉というフレーズでファンも一様に手を伸ばし、Rayとの絆を確かめ合うかのようだ。最後はみんなで高く高くジャンプをし、爽やかな余韻を残して1日目の公演を締め括った。(2日目のレポートに続く)

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