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INTERVIEW

2017.05.08

作品にも自分たちにも寄り添った、渾身の1曲が誕生!『劇場版 FAIRY TAIL–DRAGON CRY-』の主題歌「WHAT YOU ARE」担当 POLKA DOTSインタビュー!

作品にも自分たちにも寄り添った、渾身の1曲が誕生!『劇場版 FAIRY TAIL–DRAGON CRY-』の主題歌「WHAT YOU ARE」担当 POLKA DOTSインタビュー!

それは奇跡のようで、必然の出会いだったのかもしれない――輝きながら澄んでいて、それでいて一本筋の通った歌声の茜屋日海夏と、ウィスパー調で豊かな広がりのある歌声を持つタカオユキ。それぞれi☆Ris・みみめめMIMIのメンバーとして異なるフィールドで活躍していたふたりが結成したユニット・POLKA DOTSは、お互いの長所を活かし合う歌声の相性抜群のユニットだ。そんな彼女たちの楽曲「WHAT YOU ARE」が、このたび『劇場版 FAIRY TAIL–DRAGON CRY-』の主題歌に起用された。歌詞やサウンドなどの互いの持ち味を尊敬し合うふたりは、この曲をどのように作り上げたのか?そこに込められた想いに迫る。

――まず、POLKA DOTS結成のきっかけからお伺いできますか?

茜屋日海夏 ユッキー(タカオ)とは3年ほど前にアニメの現場で出会ったんですけど、そのとき私は現場がほぼ初めての状態だったので、ふたりでブースの端っこのほうにちょこんと座っていたんです。それで話しているうちに意気投合して仲良くなって、プライベートでも会うようになって。いろんな話をしていくうちにすごく共通点が多いことに気づいたんです。

タカオユキ 声優さんでごはんに行くような友達はほとんど初めてで、正直初対面のときに同じニオイを感じたんです(笑)。

茜屋 わかる(笑)。うまく表現できないけど、同じニオイを。

タカオ 1回徳島でのイベントで一緒になったときに、街を一緒に歩き回ったりして仲良くなって……っていうのが最初の、プライベートで仲良くなったきっかけです。そこからいろいろ音楽の話もしていって、私自身「いつかひみたす(茜屋)に歌ってほしいな」って思っていたことも結構あって。それでi☆Risさんに“視聴覚アカデミー”っていうみみめめMIMIのイベントのゲストに出てもらったりしてから、関係者の方が「一緒にやらないか?」と声をかけてくれて、結成に至りました。

――結成されてから、改めてお互いの「ここ、いいな」っていう点が見えてきたりもしましたか?

茜屋 私も「いつか一緒にユッキーの世界観に参加できたらいいな」って思っていたぐらい、元々みみめめMIMIでユッキーが作ってる曲や歌詞の世界観がすごく好きで。それに私が声質的に主線ばかりを歌う、縦に突き抜けるような声なので、横にふわっと広がって包み込むようにハモリで支えられるユッキーの歌声もすごく好きなんですよ。だからお互いの良さのバランスが、うまく取れたユニットになっていると思います。

タカオ 私も、ひみたすの透き通った突き抜ける歌声がすごく好きだし、かわいらしい声のほかにも力強い声とかいろんな声が出せるところはすごく尊敬しているんです。今までは自分の表現として、ひみたすが言ってくれたような倍音の多い声に合うものだけに曲の世界観が限られていると思っていたんですけど、ひみたすと組めたことで「ひみたすが歌うのをイメージすると、こういう曲も書けるかな?」ってすごく世界観が広がって。彼女の歌声に救われた部分も多いですね。あと、今回作詞している彼女を見ていて……震えましたね。

茜屋 震えましたか(笑)。

タカオ 「ホントに初めて?」みたいな。でも「元々歌詞とかをノートに書くの好きなんだ」って、それこそ3年前から話してた気がする。

茜屋 ね!言ってた気がする。

タカオ でも最近特に「ひみたすは作品のテーマを歌詞に落とし込むのが得意なんだ」って、ひしひしと感じています。

――そんなおふたりが今回、『劇場版 FAIRY TAIL–DRAGON CRY-』の主題歌「WHAT YOU ARE」を発表されました。おふたりは『FAIRY TAIL』自体にはどんな印象をお持ちですか?

茜屋 私は中学生の頃に1巻を手にして、ファンとして「素敵なマンガだな」と思って読んでいたんですよ。それが巡り巡って、10周年というという記念の年にこういった形でご一緒させていただけるのは、信じられないぐらいうれしいです。と同時に、長く愛されている作品なので、制作はすごく緊張しました。

タカオ 私も兄がすごい『FAIRY TAIL』のファンで、実家に住んでいたときには兄につられて読んでいたんですよ。たくさんの方に愛され続けている作品の、10周年という記念すべきタイミングの劇場版に携われるということで、私も「絶対にいい曲を書かなきゃ!」って思いました。

――では実際の楽曲制作にあたっては、今回の劇場版とどう向き合われたんでしょう?

茜屋 『FAIRY TAIL』好きの友達たちに話を聞いたりもしましたし、ありがたいことに今回は、原作者の真島(ヒロ)先生と実際にお会いして直接お話を伺える機会があったんですよ。

タカオ そうそう。私は松屋銀座での真島先生の原画展にも足を運んでいたので、お会いしたとき「あぁ、本物だ!」って思っちゃって(笑)。

茜屋 (笑)。

タカオ でも真島先生の雰囲気が、(主人公の)ナツみたいなんですよ。なので「こういう先生だからこの作品が生まれるんだなぁ」と新たに感動もしましたし、やっぱり実際お会いできたというのはすごく大きかったですね。これまでみみめめMIMIとして主題歌を作るときに、必ずしも原作の先生にお会いして話を聞けるわけではなかったので、そんなすごく光栄な機会をいただけたということがすごくうれしかったですし。だからこそより私たちも魂を込めて書くことができたと思っています。

――先生とお会いして、どんなお話をされたんですか?

茜屋 「いちばん大事なテーマはなんだろう?」と思っていたのでお聞きしたら、答えとして「ラスト近くでナツに『俺は、何に見える?』と聞かれてルーシィが答えるシーン、このやり取りがすごく大事です」とおっしゃったんです。「これが先生が伝えたくて、ファンのみんなもいちばん強く受け取ったテーマなんだな」と思って、そこは絶対に入れたいなと思いました。

――なるほど。両者のテーマが噛み合っていたんですね。

茜屋 そうなんです。

タカオ 真島先生にお会いしたら「もっと力強くて、ドラマチックな感じにしたいな」ってイメージが膨らみました。そのとき、真島先生がこの作品にみんなにハマるような大きくて大切な想いを込めているように私なりに感じたので、皆さんにもこの曲を皆さん自身に照らし合わせながら聴いてほしいなって思っています。

茜屋 絵コンテも見させていただいて自分たちの曲が流れるタイミングも把握したので、導入部分は「みんなにしっとり響くような感じにしようかな」とかいろいろ気遣って書きました。あとアニメの主題歌なので、歌詞の中に作品を象徴するものを取り入れて作品に寄り添いたいなと思って、2番のAメロ「桜色した夕暮れが」という部分にナツの髪色の“桜色”を取り入れてみたりもしています。

――タイトル「WHAT YOU ARE」というのも、まさにそのナツの言葉にドンピシャですね。

茜屋 そうなんです。タイトルで問いかけて、歌の中で答えが見えてくるようにストーリー性を持たせたくて。ただこの言葉って、自分たちにあてたものでもあるんですよ。

タカオ そう。実はそうなんです。

茜屋 結成したばかりの私たち自身としても「何者なのか?」っていう意味合いも、ちょっとだけ込めているんです。

タカオ なので「私たちは、何者だ?」「私たちにできることって?」というところを模索中の新ユニットである自分たち自身も、より作品に寄り添えているような気がしています。

――あとサウンドの面なのですが、頭サビ明けのピアノがめっちゃタカオさんっぽいなと思いまして。

茜屋 わかります!私も思いました!

タカオ ホントですか?編曲の野間(康介)さんはたまにピアノのアドバイスももらっているような“ピアノの師匠”なので……師匠に似てきたんでしょうかね?(笑)。

茜屋 弟子として、スキルが(笑)。

――その音色が、楽曲全体により爽快感を与えているような気がします。

タカオ ありがとうございます。ひみたすが頑張ってくれた歌詞に寄り添えるように、空をイメージできるような曲に仕上げるよう意識しました。

――そうしてできたこの曲、実際歌われてみていかがでしたか?

茜屋 私は主線なのでユッキーより先に録ったんですけど、いつもと違って自分自身が書いた詞なのでより感情も込められたし、いつも以上にブレスの位置とか細かいところまで気を使えたと思います。あと、いちばん伝えたいメッセージを落ちサビの詞に乗せたので、そこはすごく大事に歌わせてもらいました。

――特にご自身で歌詞を書かれたので、想いをどこにどう込めたらいいのかが。

茜屋 より明確でしたね。それにグループでやっているときは、メンバーの声を聴きながらとか結構メンバーにも寄り添う形で歌ったりするので。ユッキーもすごく寄り添ってハモリをやってくれるんですけど、私が先だったので「とりあえず思うようにやってみよう」と自分なりに表現していきました。それに、先ほども言ったようにどう曲がかかるかも把握していたので、劇場版の絵もイメージしながら歌っていきましたね。

――そうですよね。グループだとひとりでサビを主線でずーっと、というのはありませんから。

茜屋 そうですね。でもPOLKA DOTSでやるときは、悪い意味ではなくアイドルの自分は一切捨て去って「ひとりの“茜屋日海夏”として参加しよう」という気持ちでレコーディングに臨んでいるんです。ユッキーもそうなんですけど、今期はお互いみみめめMIMIやi☆Risでのイメージを壊して新しいジャンルでやろう、という形でやっているユニットなので。

タカオ 自分たちの殻を破って、新しくやれることをやってみよう、っていうことなんですよ。

――そんな主線を受けて、タカオさんはどうレコーディングに臨まれたのでしょう?

タカオ ひみたすの息遣いに合わせるよう、すごく工夫しました。まっすぐな彼女の歌声を縦線として、そこに広がり部分を倍音の多い私の歌声が横線として合わさって、きれいな三角形になるようなイメージで……ちょっとこれ、表現が難しいんですけど(笑)。

茜屋 絵でめっちゃイメージしてたよね(笑)。光ファイバーみたいな感じだったっけ?

タカオ そう。それをすごいイメージして、曲がよりドラマチックになるように歌ったんです。サビだったらふたつ声を重ねたり、ほかのところはあえてひとつにしたりと細かくこだわりまして。1回歌を入れてみて「違うな」って思ったところは引いたりもしながら、進めていきました。

――さて、この楽曲を経てユニット活動を続けていくと、またおふたりでいろんな曲を手がけられていくと思います。これから、どんな曲を作ってみたいですか?

茜屋 私はバラードをガッツリやりたいです。i☆Risではガッツリなバラード曲をあまりやったことがないと思うので。別に闇を抱えてるというわけじゃないんですけど(笑)、悲しい曲が大好きで。普段人前ではすごく明るいので、「実はこういう悲しい一面も、あるんだよ」っていうのを曲で表現してやってみたいですね。あと、失恋ソングも大好きなんですよ(笑)。なんでだろう?悲しく突き刺さる曲が大好きなんです。

タカオ 「なんか涙出ちゃう」みたいな曲、私も好き。

茜屋 そうそう!感情的になっちゃう曲がすごい好きで。ドン底まで落ちる曲とか、いつかやりたいです!

タカオ いいね。マイナーしか使わない曲とか作ってみたいですね。不協和音とか入りそうだけど(笑)。

――不協和音が入ると、ちょっと闇かもしれないですね(笑)。

茜屋 あー、それは闇すぎますね(笑)。

タカオ でも私も繊細な曲はすごく作りたいんですよ。活動しながら「私たちの歌声って、こう交わってこんなふうに聴こえるんだ」って、新しく発見するところがいっぱいなので、こんなふうに融合できるのなら、それこそバラードも作ってみたいですし。あと“殻を破る”という意味では、これまで結構ポップな曲をたくさん作ってきたので、ちょっとロックとかパンクっぽい曲にも挑戦してみたいです。ひみたすの歌声だからこそ表現できる曲もあると思っているので、いい意味でみんなの期待を裏切れるような音楽を追求していきたいですね。

――では最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

茜屋 機会と運とまわりの人たちにすごく恵まれて、POLKA DOTSとしての活動ができているなってすごく思っています。私たちも、お互いやこれから出会っていく人たちとの出会いを大事に、繋がりを大事にしながらふたりでどんどん新しいことに挑戦していきたいです。ぜひ今後とも、応援よろしくお願いします!

タカオ POLKA DOTSでこれまでの自分たちの殻を破って、皆さんに愛される作品を届けたい。今そういう想いであふれていますし、この新しいユニットでの曲が、『FAIRY TAIL』ファンの皆さんにも響くものになっていればいいな、とドキドキもしています。ユニット名には“水玉模様”っていう意味があるんですが、それってどんなマルであっても何色でも、水玉模様じゃないですか?私たちも同じように、変幻自在に“好き”を追求しながら皆さんに良いものを届けられるよう頑張っていきますので、応援どうぞよろしくお願いします!

Interview&Text By 須永兼次


●作品情報
『劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-』

5月6日(土)より全国公開中

【キャスト】
柿原徹也、平野 綾、釘宮理恵、中村悠一、大原さやか、佐藤聡美、堀江由衣

【スタッフ】
原作:「FAIRY TAIL」真島ヒロ(講談社『週刊少年マガジン』連載)
監督:南川達馬
脚本:米村正二
キャラクターデザイン・総作画監督:山田裕子
音楽:高梨康治
音響監督:はたしょう二
制作:A-1 Pictures
製作:劇場版フェアリーテイルDC製作委員会
配給:ギャガ

<ストーリー>
黒竜に葬られたドラゴンたちの怒りが宿る杖・竜の涙(ドラゴンクライ)・・・
妖精の尻尾(フェアリーテイル)は、奪われた杖を取り戻し、世界を守ることが出来るのか――!?
フィオーレ王国の神殿に奉られた魔法の杖・竜の涙。世界を滅ぼすほどの力を秘めるというこの杖が、王国の反逆者ザッシュによって奪われ、ステラ王国の国王・アニムスの手に渡ってしまう。竜の涙奪還の依頼を受けた魔導士ギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルルは、ステラ王国へと潜入する。そして竜の涙を巡る攻防の中で、彼らはアニムスに仕える魔導師・ソーニャと出会うが・・・。
竜の涙を我が物としようとするアニムスの狙いとは!?国を救いたいと願うソーニャの秘密とは!?様々な思惑が交錯する中、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は世界の危機に立ち向かう!! そして、壮絶な闘いの中で、ナツの本能が目を覚ます――!?

(c)真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイルDC製作委員会

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