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INTERVIEW

2016.12.01

やなぎなぎライブツアー「Follow Your Tracks」映像化 ツアー最終日、涙の理由をインタビューで語る!

やなぎなぎライブツアー「Follow Your Tracks」映像化 ツアー最終日、涙の理由をインタビューで語る!

やなぎなぎにとってキャリア最長の9公演を無事完走した「Follow Your Tracks」ツアー。その最終日、TOKYO DOME CITY HALLでの公演がこの度、映像化された。その発売にあたり公演の模様を振り返るインタビューをしたところ、公演の見どころやライブを通じて変わった自身の思い、ファンへの感謝の念と活動5年目に向けた展望を語ってくれた。

――このライブの冒頭のMCで、やなぎなぎさんは、「このツアーでの成長を見てほしい」とお話されていました。その成長とはご自身ではどんなところに感じられましたか?

やなぎなぎ 今回のライブは目で見ても楽しめるような光の演出を採り入れました。最初はお客さんがどんな反応を示してくれるかわからなくて不安もあったのですが、ツアーで回数を重ねるごとにお客さんの側とのコミュニケーションも進んで、お互いにツアーを通じてすごく成長できたという実感がありました。最終日のTOKYO DOME CITY HALLではそれを観てもらいたかったんです。

――以前にライブを取材した時に感じたのですが、やなぎさんのライブに来るお客さんは、きちんとステージの演者を観て聴いている方が多いという印象があります。壇上からご覧になっていて、どのように見えますか?

やなぎなぎ それは私もすごく感じています。盛り上がる曲は一緒に盛り上がってくれますし、ちゃんと聴くタイミングだなと思ったら目を閉じて聴き入ってくださる姿がステージからもわかるので、すごくうれしいですね。「rooter’s song」は私から煽ってお客さんにクラップを入れてもらう曲で、ツアーの初めの頃はそれに戸惑われていた方もいたのですが、最終日はピッタリ揃っていて。ファン同士でそこのところを共有されているみたいなんです。そういうふうに伝播していくのもツアーならではかなと思いました。

――やなぎなぎさんの場合、ライブツアーはいつ頃から準備されるのでしょうか?

やなぎなぎ 私はいつも半年くらい前からですね。ツアーはアルバムを踏まえてのことが多いので、アルバム制作をしながら同時にライブをどう演出していこうかと考えていきます。

――曲順について、パッケージ(アルバム)とライブとでは異なりますが、それは演出プランの違いによるものなのでしょうか?

やなぎなぎ はい。そう捉えていただいて構いません。耳だけで聴くのと、ライブで光の演出などがあるなかで聴くのとでは、やっぱり違って聴こえると思うんですよね。耳だけで聴いているときは、静かな曲に感じられても、ライブでは意外と熱く見えたりする曲もあります。それは私自身も感じるところであるんですよ。

――今回、ライブに光の演出を採り入れられていますが、それはどのように考えられたのでしょうか?

やなぎなぎ 今回は旅というテーマだったので、東京公演のセットでは私の後ろに道を作って、それに映像を投影したり、さらにその後ろにLEDのスクリーンを立てたりして、道が続いてまた別の世界に行けるような構成にしていただきました。見た目としても道を作り、セットリストは序盤は旅に出かけるような曲から始め、後半は旅の終わりを感じさせる少し寂しい感じの曲を並べました。光の演出もそれに沿った移り変わりを表現していただきました。

――ライブ映像は冒頭の「Follow My Tracks」に合わせて、バンドの皆さんが登場するところからスタートします。

やなぎなぎ そこは私がこだわったところで、最初にメンバーの名前をクレジットとして入れてもらって、彼らがスポットライトを浴びるという演出をしたかったんです。このバンドの皆さんには、もう5年くらい一緒にライブで演奏してくれている方たちです。ツアーに来てくれるお客さんもメンバーのことをすごく見てくれていて、舞台では私が中央に立っているけれども、このライブは全員で作っているんだということを知ってもらいたくて。初日はその意図がちゃんと伝わるかなと心配していたのですが、スポットライトが当たった途端、お客さんが温かい拍手で迎えてくれて、やっぱり回数を重ねることでみんなにもそれがちゃんと伝わっているんだなと思い、すごくうれしかったです。

――ライブ映像ではバンドメンバーのみなさんの手元を映したカットもあり、素晴らしいプレイを観ることができます。せっかくですので皆さんの紹介をしていただけますか?

やなぎなぎ はい。ドラムのMITSUさんはバンマス的な役割で、私たちをうまくまとめてくださいますし、プレイヤーとしても素晴らしい方です。最後の「ビードロ模様」なんて、ドラムを叩きながら一緒にお客さんに向けてスティックを振ってくれるなど盛り上げも上手で、すごく信頼ができる方です。ベースのRuiさんもMITSUさんと一緒にバンドを組まれていたことがあって、リズム隊としてもおふたりの息はピッタリです。あの重いベースを持ちながらピョンピョン跳ねたりしても全くブレないという、すごいプレイヤーです。キーボードの平野さんはライブに何度も来てくれている方たちからすごく愛されている方なんです(笑)。お茶目というか天然さんで、癒やしのオーラが出ていますね。ソロのときも「どうやったら盛り上がるかな」と悩んだ結果、最後の公演では帽子を取って頭で鍵盤を弾いてくれたりして(笑)。ギターのBr’zさんもすごく盛り上げが上手で、ソロになるとどんどん前に出てくれるので私もそれを見ると安心しますし、ソロのときも見せ方がすごく上手くて、歯でギターを弾いたりしてくれます(笑)。RuiさんとBr’zさんが私の左右にいてくれることで、すごく安心感がありますね。そしてこの映像に収録されている最終日にはバイオリンで吉田翔平さんが参加されています。吉田さんも何度か私のライブで弾いていただいていて、弦のアレンジはすべてお願いをしています。すごく力強く弦を入れてくれたので、どの曲もすごくかっこよくなりましたね。

――ライブバージョンにするにあたって、ご自身の中で印象が変わった曲はどの曲でしょうか?

やなぎなぎ 本編最後の「どこにも行かない」という曲は、音源ではギター1本で歌っている曲なのですが、ライブでは最初、音源と同じくギターと歌で始めていき、そこへ徐々にピアノやリズム隊が入ってくるという作りにしました。そして最後はお客さんとの合唱で締めます。原曲では私がひとりで「どこにも行かない」と歌っているのですが、ライブでは最後にいろんな人の声と一体になってすごく盛り上がった曲になりました。作った時は自分の内面を表現した楽曲だったのですが、ライブを通してバンドっぽい曲になり、良い意味でもう私の手を離れた感じの曲になったなという印象ですね。

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――「モノクローム・サイレントシティ」では傘を差したりプロジェクションマッピングを使われています。この演出はどのように考えられたのでしょうか?

やなぎなぎ 旅というテーマで作ったアルバムで、自分が旅に出ることを歌った曲が多いのですが、この曲だけは旅に出る人を見送るという内容の曲です。雰囲気もガラッと変わるので、見送るときの感情を皆さんにいろいろと想像してもらおうと思って、傘で隠したり最後は後ろを向いたりしています。セットの道にプロジェクションマッピングを施してもらって、雨の日の感じを出してもらっています。

――「三つ葉の結びめ」はすごくライブ映えする曲でした。ステージ上からはどのように感じましたか?

やなぎなぎ これは出羽良彰さんにアレンジしていただいたバージョンで演奏してもらいました。原曲はすごくポップな感じなのですが、ライブ版ではエレクトロニカ調にでありつつも、ビートはすごく盛り上がる感じなので、不思議な空間にいて音に浸れる構成になっています。自分としても新鮮な印象の曲になりました。

――「カザキリ」はアルバムの時から難しそうな曲だなと思っていたのですが、ライブではいかがでしたか?

やなぎなぎ 私にとっても難しい曲だったのですが、バンドにとっても大変なゾーンになりました。この前の「many universes」から「夜天幕」までは相当スタミナを消費するゾーンですね。最初は「オラリオン」と「夜天幕」を続けるつもりだったのですが、さすがにキツイということになり、短めのMCを挟みました(笑)。「カザキリ」は私にとっても「ここを乗り越えないと」という感じの一曲でした。高音も多いですし、メロディの幅も大きく、一気に上がったりするので息継ぎもすごく少なくて、ライブではいちばん大変な曲かもしれないですね。

――こういう曲の場合、スタジオ盤を作るときにライブのことは考えているのでしょうか?

やなぎなぎ 一応考えてはいるんですけど、良い曲を作りたい方の欲求がどうしても強くなってしまうんですよね(笑)。

――また、「オラリオン」も転調ありテンポチェンジありとライブで再現するのに難度が高そうな曲でした。

やなぎなぎ これもメンバーは大変そうでしたね。サビ前のテンポチェンジがいちばん大変だったみたいで、リハではそこを重点的にやっていました。これは回数をこなすしかないということの練習方法で、やり込むしかなかったです。

――本番では涼しい顔でプレイされているプロフェッショナルの皆さんですが。

やなぎなぎ 実はメチャクチャ頑張っていたんですよ(笑)。

――「You can count on me」はコールアンドレスポンスもありつつ、本編最後を楽しく締めくくる楽曲でした。

やなぎなぎ この曲は何度かライブの定番になっていて、コールアンドレスポンスも知っている皆さんも多いので、この曲が来たら叫ぶぞと準備されていて、私もやっていて楽しい曲ですね。

――そうした楽曲を生み出せたことについて、アーティストとしてどんなどんな思いでしょうか?

やなぎなぎ デビューする以前、個人で音楽を作っていたときは、こういう曲を作ろうと思ったことがなかったんです。でも目の前で聴いてくれるお客さんがいるという経験をどんどん積んでいったことで、みんなと一緒に楽しめる楽曲が必要だという気持ちが芽生え、この曲ができました。デビュー前はネットを中心に活動していたので、どんな人が聴いてくれているのか顔が見えなかったんです。でも、イベントやライブでこんなふうに私の曲を聴いてくれるというのは自分自身にとっても大きな影響がありました。この曲は海外でライブをやっても、すぐに覚えてもらえて反応を返してくれます。皆さんと一緒に楽しめる曲だと分かってもらえて盛り上がれるのはすごくうれしいですね。

――アンコールで「深遠」を歌われている時に涙が見えました。これはどんな思いからだったのでしょうか?

やなぎなぎ あのときは誕生日のサプライズをしていただいてビックリした後だったのと、このライブでデビューしてから丸4年を迎えたという実感がいろいろと重なった瞬間でした。自分の中では音楽って趣味だったので、こんなにもいろんな人に聴いてもらえるとは思っていなかったんです。趣味から始まった活動がだんだんと規模が大きくなり、たくさんのファンの方がライブに来てくれるようになり、5年目に向かって走り出したタイミングでした。思えば、こんなに長く続けられたことって他にはなかったし、しかもこんなに大勢の人に応援してもらっているというところでいろんな感情が溢れてきて、言葉では伝わらない気持ちが涙として溢れ出てしまった形です。

――そしてオーラスに持ってきたのがデビュー曲である「ビードロ模様」。

やなぎなぎ 今お話したように、このツアーはデビューから4周年を迎えて5年目に向かうという区切りのものだったので、デビュー当時の気持ちを思い出すことも多くて、やっぱりこの曲が締めにはふさわしいかなと思って、当時の気持ちを思い出しつつ歌いました。

――そして今の時点では5年目を走り出しているわけですが、この数字はやっぱり大きなものですか?

やなぎなぎ そうですね……。自分の感覚としてはあっという間だったのですが、客観的には5年って長い時間ですよね。デビューした当時、中学生で来てくれていた方が、今は大学生になりましたと、この間のイベントで話してくれたんです。5年ってそれくらい長い年月なんだなと感じています。音楽を続けていけるというのは簡単なことではありません。でもそうやってふだんから聴いてくれる方がいらっしゃるからこそ、続けられた5年は重みのある数字だと思いました。

――そこから先に向けて今、やなぎさんが考えていることは何でしょうか?

やなぎなぎ この4年間、いろんなジャンルの曲を歌わせていただき、作品にも関わらせていただきました。今年はそう考える中で、デビュー当時の自分を思い出すことがすごく増えました。もともとエレクトロニカとかアンビエント系の音楽をやっていたので、それらを振り返りつつ、自分らしい音楽を探してみたいなと今は思っています。これまでの活動も大事にしつつ、ユニットを組んでいるbinariaではツインボーカルなのでそこでしかできない音楽もやりつつ、自分の音楽も突き詰めていこうかなと思っている最中です。それぞれの活動があることで、今まではやれなかった楽曲も生まれてくるので、自分としては今すごくいい状態だなと思っています。

Interview&Text By 日詰明嘉


●リリース情報
やなぎなぎ LIVE〝Follow Your Tracks〟
11月30日発売

【Blu-ray版】
161201-c005

品番:GNXL-1003
価格:¥6,200+税

【DVD版】※2枚組
161201-c006
品番:GNBL-1035
価格:¥5,200+税

<Blu-ray/DVD>
01. Follow My Tracks
02. 春擬き
MC
03. ワンルームトラベル
04. キャメルバックの街
05. パラレルエレベーター
06. モノクローム・サイレントシティ
07. rooter’s song
08. 三つ葉の結びめ
09. Sweet Track
10. zoon politikon
11. in flight
12. skyscape
13. many universes
14. カザキリ
15. オラリオン
16. 夜天幕
17. 未来ペンシル
MC
18. ターミナル
19. どこにも行かない
アンコール
20. You can count on me
MC
21. ユキトキ
MC
22. 深遠
ダブルアンコール
23. ビードロ模様

特典映像
・MV
ターミナル
・ライブ演出映像
パラレルエレベーター
未来ペンシル
ターミナル
どこにも行かない

●イベント情報
発売記念サイン会
12月10日(土)11:30開場 12:00開演
会場:HMVグランフロント大阪
12月10日(土)17:00開場 17:30開演
会場:アニメイト渋谷店
※参加方法ほか詳細はやなぎなぎ公式サイトにてご確認ください。

関連リンク

やなぎなぎ公式サイト

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