リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2016.11.04

「物語」が楽曲とライブに新しい個性をもたらした「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 01」発売記念イベントレポート

「物語」が楽曲とライブに新しい個性をもたらした「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 01」発売記念イベントレポート

『アイドルマスター ミリオンライブ!』のCD「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 01」の発売記念イベントが10月30日、横浜某所で開催され、七尾百合子役伊藤美来、天空橋朋花役小岩井ことり、箱崎星梨花役麻倉もも、松田亜利沙役村川梨衣、ロコ役中村温姫が出演した。今回は夜の部をレポートする(画像は昼の部のもの)。

「THE@TER ACTIVITIES」は、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の新CDシリーズ。楽曲主体だったこれまでのシリーズとはコンセプトを変えて、ゲームと連動した映画をモチーフにした「ドラマ」と「主題歌2曲」で構成。各役柄を担当するアイドルはミリオンスターズ37人からユーザー投票で決定する意欲的な企画だ。「TA01」の映画のテーマは「剣と魔法のファンタジー」で、ドラマ内では勇者役を七尾百合子、魔王役を天空橋朋花、妖精役を箱崎星梨花、四天王役を松田亜利沙、村人A役をロコが担当している。

イベント自体もCDのコンセプトに合わせて、トークやゲーム、ドラマの比重が高い内容になった。キャスト陣は3rdライブ衣裳で登場したが、小岩井は役柄の「魔王」に合わせて赤いカラコン、髪型も朋花に合わせてきたりと気合が入っていた。MCは伊藤美来が担当。ちゃんとタイムキープしなきゃ! という生真面目さが見えて好感が持てる、しっかりとした進行だった。

int-161104-001

「撮影裏話トーク」と題したCDに関するトークでは、中村が「ハチャメチャな曲が多いからかっこいい曲が嬉しい!」。かっこいい曲について振られた麻倉は、最上静香役の田所あずさや北沢志保役の雨宮天と一緒にステージに立つことが多いので、自分は何故かかっこいい曲が多いと語って中村をうらやましがらせていた。中村からはかっこいい曲志願も! 「DIAMOND DAYS」は昼の部で一度歌ったからこそ、どんなに楽しい曲かで5人は改めて大盛り上がり。伊藤が「DIAMOND DAYS」は武道館をイメージさせる曲と語ると、村川が武道館ライブが終わったら、その光景を思い出しながら聴いてほしい……という極めてまともで普通な内容を、言い方だけでとてつもなく面白い感じにしていた。そんな村川を師匠扱いする小岩井だった。

今回のCDは映画がテーマということで、くじびきで選んだアイドルを主役とした物語を5人がアドリブでつなぐコーナーにもチャレンジ。物語には3つのお題をいれこむのがルールだ。一周目は「ロコ」の物語で、お題は「泣き虫」「パリピ」「魔法陣」。昼の部でノウハウをつかんだ5人はオチ担当を押し付けあっていたが、じゃんけんの結果順番は伊藤→中村→小岩井→麻倉→村川に。パリピに憧れる少女・ロコが修行に出るという内容だったのだが、4番目の麻倉がまさかの「これで私もパリピだ!」とオチをつけてしまうという予想外の展開。ラストの村川が「そして一年後…」とモノローグで物語を締めると、会場からは拍手が起こっていた。

int-161104-002

2周目は「朋花」の物語で、お題は「覆水盆に返らず」「それを持っていると空中に浮く青い石」「iPhone10」。最後は難易度が跳ね上がってきた。順番決めのじゃんけんも大変に白熱し、オチ担当をまぬがれた村川が暴れ獅子のようなガッツポーズを見せたり、オチ担当に決まった麻倉がショックで崩れ落ちたりしていた(伊藤→野村→村川→小岩井→麻倉)。あまりの難題に子豚ちゃんにiPhone10が支給されたり、道を歩いていたら空飛ぶ石が降りてきたりと、悪戦苦闘しながら物語を紡ぐ前半の4人。だがオチで麻倉が「バルス!!」と言葉をもろに叫んで世界ごとお盆をひっくり返してことわざにつなげると、会場はその機転に感心して拍手喝采半分、「あ、言っちゃうんだ…」半分といった雰囲気で、大いに盛り上がっていたのだった。

イベントでは即興ドラマだけではなく、CDの後日談にあたる話を生ドラマで披露。今回のイベントは映像化の予定もないので、貴重なものになった。冒頭は亜利沙と会場の「こぶたちゃーん!」「ぶひー!」のコール&レスポンスからスタート。続いて亜利沙が百合子にも同じコールを要求する……という流れだったのだが、夜の部はエネルギーがありあまった客席が百合子に先んじて「ぶひー!」の大合唱。これに亜利沙こと村川が激しくツッコミを入れたりと、脚本にないアドリブ展開が入るのがとても楽しい。ドラマ自体は、アイドルたちが映画の舞台挨拶の準備中という体裁で、勇者ロコと魔王星梨花が激しいバトル(ごっこ)を見せたりと、新鮮な演技も楽しむことができた。

int-161104-003int-161104-004

ドラマ重視のコンセプトがライブでの新しい個性を引き出す

ミニライブコーナーでは、まずは「創造は始まりの風を連れて」を披露。センターはもちろん、勇者役の百合子を演じる伊藤だ。攻撃なイントロに合わせて拳を突き上げる5人の表情は真剣そのもの。歌い出しの伊藤の凛とした風情や、小岩井が口元を引き結んだ様子が強く印象に残る。ソロパートで抜群の説得力を見せたのが村川と小岩井で、役柄に寄り添って見たことのない表情を見せる。それが村川と小岩井なのか、それとも亜利沙と朋花なのか、そんな境界線上のゆらぎを感じるパフォーマンスだった。

ダンスで言えば、曲調によって本領を引き出されていたようにも感じたのがセンターの伊藤。ズバズバっと腕をふるう振付でのキレの良さにはダンスの基礎能力の高さをまざまざと感じる。軽やかに見えてものすごく高いレベルで安定している麻倉、丁寧にしっかりと振付を押さえていく小岩井の並びはダンスにも個性が見えて面白い。個人的には遠くを見つめる時には照明に、まっすぐ射抜く時は会場の奥に視線をびしっと定める麻倉の目線の置き方のたしかさが印象的だった。

楽しくコミカルなトーク、クールでキレのある「創造は始まりの風を連れて」と来たからこそ、ラストの締め「DIAMOND DAYS」で楽しそうな笑顔でいっぱいの5人の輝きがまた際立つ。会場のプロデューサーたちも左右に大きくサイリウムを降り、コールで声を揃えて一体になってライブを楽しむと、5人がリードしながら一緒にクラップ! とにかく楽しくて幸せな空間だ。楽しい曲ではなおさらパワーを発揮するのが中村で、心からステージを楽しみ、そこに立つことを喜んでいることが本人からわきだしてくる感じは、どんな技術にも勝る魅力だろう。

int-161104-005int-161104-006

ため息が出そうになったのが村川のソロパートで、一曲目と二曲目のソロパートの歌声の高さ、声、表情の全てが色を変えている。思えば村川と麻倉、天性の声質を持って普段はふわふわしているけどパフォーマンスは天才的…という2人が並び立つステージはなかなかレアかもしれない。歌唱パート以外のメンバーにちょっとしたかわいい振付が入っていたり、最後のキメで5人が集まってポーズをしたあと、揃ってちょっと小首を傾げてみせる仕草が最高にキュートだったりと、5人チーム感のあるダンスも印象に残った。

int-161104-007int-161104-008

5人で歌唱する歌の中で個性がはっきり見えたのは、「映画の主題歌」という、アイドル個人の個性とは別のテーマを持った楽曲を歌えばこそだろう。ドラマや演技を大切にしたCDだからこそ、ライブからも見えるものがあったのは発見だった。

Text By 中里キリ

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP