INTERVIEW
2016.10.17
デビューから5年目のアニバーサリーイヤーを迎えた春奈るなのニューシングルは、ゲーム「ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-」のオープニングを飾る疾走感溢れるナンバーとなった。本人にとっても新たな挑戦になったという今回のシングルについて、制作時のエピソードと発売日を迎えたばかりの胸中を本人に語ってもらった。
――今回のシングルはお誕生日に合わせての発売となりましたが、感想はいかがでしたか?
春奈るな 正確にはフラゲ日だったんですけど(笑)、自分が生まれた日に、今の自分がつまった、いちばん新しい楽曲たちをみなさんにお届けできるというのはやっぱりうれしかったですね。誕生日当日には発売記念番組をLINE LIVEで配信したんですが、客席のファンクラブのメンバーも一緒にお祝いしてくれて、みんなにも喜んでもらえてたらうれしいです。
――そんなシングルの収録曲についてお聞きしていきたいと思います。まず1曲目「Windia」ですが、『ソードアート・オンライン』(以下、『SAO』)の楽曲ということで。シングル曲としては久しぶりにシリアスな雰囲気になっていますね。
春奈 そうですね、最近は「君色シグナル」や「Ripple Effect」とポップなシングルが続いたので、以前から私の曲を聴いてくださっている方は懐かしくも感じるだろうし、いい意味で驚いてくれるかなと思います。こういう路線の楽曲は個人的にも好きなので、歌えると決まったときにはうれしかったですね。
――今回は歌う際に意識した点などはありましたか?
春奈 ポップな春奈るなとのギャップを出したくて、かっこよく歌うという部分は意識しました。今回は久しぶりの『SAO』楽曲ということで、世界観は見えていたので歌いやすかったです。でもサビの最後の部分はボーカルがファルセットになっていて声を張りにくかったりするので、音がブレちゃったりとかインパクトに欠ける歌い方になりがちで、納得がいくテイクになるまで念入りに録り直しました。
――まさしく聴いていても春奈さんの音域をフルに使った歌だと思いました。
春奈 そうなんです、音は上から下まで使いますし、緩急の波も激しいし、この曲ほんとに難しいんですよ(笑)。
――この曲は作詞が杉坂天汰さん、作曲が伊原シュウさん、編曲ツカダタカシゲさんという布陣ですが、春奈さんの楽曲としては初めてのメンバーでしょうか?
春奈 はい、でも実は「ボーイフレンド(仮)」の曲に関わられてるので、一方的に知っていて(笑)、今回ご一緒できて光栄でした。
――楽曲を通しての『SAO』との関わりも長くなってきましたが、今の春奈さんはこの作品をどのようにとらえていらっしゃいますか?
春奈 関わらせていただくのが4回目なので、やっぱり自分の中で思い入れの強い作品になっています。『SAO』は海外での人気がものすごいんですよ。だから海外のアニメやゲームファンの方がこの作品を通して私の曲を知ってくれて、「Overfly」とか「Startear」を口ずさんでくれるんです。私自身の視野とか世界を広げてくれる作品でもあります。あとは個人的にはアニメやゲームを好きな人の夢をかなえてくれる作品だとも思っています。仮想世界に飛び込んでいって、そこのトラブルに立ち向かうのって、アニメ好きとしては夢みたいな体験じゃないですか。物語を通して「こういう未来が本当にあるかも」っていう夢やワクワク感をくれる作品ですよね。私自身もこの作品が大好きなので、これからも音楽で繋がっていけたらいいなと思っています。
――今回のシングルの「SAO盤」には「Windia」のゲームOPサイズも収録されていますが、こちらのバージョンがフルサイズとは全く違う印象で驚きました。この仕掛けは制作時には決まっていたんですか?
春奈 そうです。SAOバージョンはサビから始まって、歌詞もこのバージョンだけのものになっています。フルと聴き比べて、違いを楽しんでいただければ。
――続いて「Windia」のMVについてですが、こちらもシリアスな映像に仕上がっていますね。
春奈 『SAO』の世界観をMVの中でもイメージしてもらいたくて、プロジェクターをいっぱい使った演出で撮影しました。
――あの床や天井のプロジェクションも合成ではなくその場で映して撮影されたんですね。
春奈 そうなんです。すごく幻想的なんですけど、プロジェクターの映像がズレると撮り直しになっちゃうので、タイミングとかが難しかったですね。撮影カット数も多かったです。
――春奈さんのこれまでのMVと違って笑顔を見せない姿が印象的でした。
春奈 確かに!でもいちばん最後には微笑んでるんですよ(笑)。MVには強い心の春奈るなと、弱い心の春奈るなっていう2人が出てくるんですけど、その2人が最後に融合して強い心を持って歩んでいく、みたいなテーマになっていて、ラストはちゃんと微笑みますので(笑)。
――では続いて2曲目の「YuRaYuRa」は、作詞が春奈さんとSakuさんとの共作となっていますが、サウンドも詞もどこか切なくてセクシーな印象で、春奈さん作詞の新境地を感じました。
春奈 そうですね、この詞はだいぶチャレンジでしたね。
――これは作曲と並行して作詞されたんですか?
春奈 曲がまずあって、歌詞は最初にワンコーラスだけ土台を作っていただいて、そこに私が肉付けしていくっていう感じでした。
――最後のサビ前でジャズに展開する部分は驚きました。春奈さん的にはこういったサウンドの中で歌うのは初めての試みですか?
春奈 ジャズは初めてでしたね。
――ファンの方も聴いていてハッとしたんじゃないかと思います。歌声ともマッチしていたというか、ジャズの楽曲で一曲歌ってるのも聴いてみたいと思いました。
春奈 それやってみたいですね!落ち着いた音色の曲がすごく好きで、バラードとかも好きなんですけど、ジャズも歌ってみたいです。
――では続いて3曲目の「星空とラブストーリー」ですが、こちらは前の2曲とは打って変わって距離感の近いラブソングですね。こういった曲と「Windia」のような大きい世界観の楽曲を歌う際に意識していることはありますか?
春奈 「Windia」や「YuRaYuRa」って、「こういう仮想世界もあるかも」みたいな感覚があって歌の世界観が想像しやすいんですけど、「星空とラブストーリー」みたいにリアル感がある曲って逆に難しいんですよ。今回は女の子がわけもなく泣きだしちゃったりとか、サビの部分に“女の子あるある”が盛り込まれてるんです。そこを「こういうときはどう思うんだろう……?」「きっと女の子ってそういう部分があるんだろうな」って、恋する気持ちを想像しながら歌うのは楽しいけど難しいんですよね。
――そこもまた一種のファンタジーというか、想像の世界なんですね。
春奈 そうですね、恋愛に関する引き出しが自分自身に少ないので、「恋する女の子はどう思うんだろう」っていう世界観を探りながら歌ってました。
――この曲も初となる坂本昌也さんとの制作ですが、春奈さんの楽曲の中でもこういったスローで四つ打ちな楽曲は珍しいと感じました。
春奈 確かに私の曲は結構テンポの速いものが多いので、このシングル一枚で色々な世界観を感じてもらえるものになっていると思います。
――そういった新機軸の楽曲に向き合う上で、どんなことを意識して歌われましたか?
春奈 「星空とラブストーリー」はテンポがゆったりなので、歌詞のひと言ひと言に想いを込めて歌いました。速い曲はどうしても全体の流れに身を任せがちになってしまうので。この曲は先日のイベントでライブ初披露させていただいたんですが、そこでも心を落ち着かせながら、情景を想像しながら歌いました。
――今回のシングルは各バージョンによって特典DISCの内容が異なりますが、こちらについても伺えればと思います。
春奈 4バージョンってかなり多いですよね(笑)。私も初めての経験でした。
――完全生産限定盤のBDは5月に行われたライブの映像が収録されますが、実質シングル・コレクションといった感じですね。
春奈 ライブで盛り上がる楽曲を選んでいるので、ライブに来られなかった方も楽しめるような臨場感あふれる映像になっています。衣装チェンジもたくさんしたのでそこも見ていただきたいですね。
――そして初回生産限定盤のDVDには「Windia」のミュージックビデオとメイキング映像のほかに、ロサンゼルスでのドキュメント映像が収録されています。こちらはどのような内容なのでしょうか?
春奈 今年の夏にイベント出演でロサンゼルスへ行かせていただいたんですが、その時のオフショット映像などですね。MVのメイキングと合わせて“素の春奈るな”を感じてもらえる映像になっていると思います。
――作り込んだステージが見られる完全生産限定盤とはまた対照的な内容ですね。そして最後に期間生産限定盤のDVD。こちらには「ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-」のノンクレジットOP映像が収録されています。『SAO』にずっと関わってこられて、ご自身の楽曲が流れるOP映像をご覧になった感想はいかがでしたか?
春奈 これまで『SAO』ではエンディングを担当していたので、ゆったりした映像が多かったんですよ。なので今回初めてオープニングを担当して、戦いのシーンに自分の歌声が合わさったときに、物語の始まりを感じたというか、なんだか緊張しましたね。
――11月には全国3都市でのライブツアーが決まっていますが、これについての意気込みはいかがですか?
春奈 ワンマンライブで福岡に行くのが今回初めてなんです。だから福岡のみなさんに会えるのも楽しみで、セットリストもファンのみなさんと作りたいと思っているんです。シングルのカップリング曲とかアルバムの曲とか、最近はライブで2、3年歌ってないような曲もあるので、ファン投票を開催してみんなでセットリストを作っていけたら面白そうだなと考えています。
――ということはツアーの各会場でセットリストが変わる可能性もあるということですか?
春奈 そこはもちろん考えています!楽しみにしていてください!
――5月のワンマン以来のライブとなりますが、5年目のアニバーサリーを迎えて心境の変化などはありますか?
春奈 音楽に対する意識がすごく変わりました。特に「誰に向けて歌を届けているのか」っていうところが明確になったと思っていて。デビューした頃は自己満足な部分もあったりしたんですけど、自分の歌を聴いてくれる人が増えていくなかで、ひとりひとりに想いが届く歌をうたえるようになっていきたいなと、すごく明確に思うようになりました。
――その変化が今回のツアーでも見られるということで。
春奈 音楽に対する熱い想いをぶつけていきたいと思います。
――さらにクリスマスライブの開催もつい先日発表されました。こちらはどんなライブになりそうですか?
春奈 クリスマスライブは去年も開催したんですが、コスプレ的なものをやりそびれたので(笑)。今年は目でも楽しめるようなライブにしたいです!
――また来年1月には“リスアニ!LIVE 2017”にも出演していただきます。こちらへの抱負もいただければ。
春奈 2回目の出演になりますが、武道館で歌うことが幼い頃からの夢だったので、“リスアニ!LIVE”は毎回夢を叶えてもらってるライブなんです。なので来てくれた方に自分の音楽を届けるのはもちろんですが、私の夢をまた誰かの夢に繋げて、心と心をひとつにできるようなライブがしたいです。
――最後にファンの方々にメッセージをお願いいたします!
春奈 今回の「Windia」は今まで出してきたシングルとはまた違うアプローチになっています。聴いてくれた人がちょっとでも前に進む気持ちになってほしいという願いを込めた曲でもありますし、シングル一枚を通して幅広く楽しんでいただける内容になっているので、聴きながらライブも楽しみにしていただければと思います!
Interview&Text By 市川太一(クリエンタ/学園祭学園)
●リリース情報
New シングル
PlayStation(R)4、PlayStation(R)Vita用ソフト「ソードアート・オンライン ―ホロウ・リアリゼーション―」OPテーマ
「Windia」
10月12日発売
【完全生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:SECL1991-2
価格:¥2,315+税
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:SECL1993-4
価格:¥1,481+税
【通常盤(CD only)】
品番:SECL1995
価格:¥1,204+税
【期間生産限定盤(CD+DVD/SAO盤)】
品番:SECL1996-7
価格:¥1,389+税
●「Windia」配信情報
【iTunes】
【mora】
【mora[ハイレゾ]】
【レコチョク】
【ドワンゴジェイピー】
【music.jp】
●ライブ情報
春奈るな LIVE 2016 “Windia”
11月 5日(土) 【福岡】DRUM Be-1 Open 17:30/Start 18:00
11月12日(土) 【東京】ラフォーレミュージアム原宿 Open 16:30/Start 17:00
11月27日(日) 【大阪】THE LIVE HOUSE soma Open 15:30/Start 16:00
料金:スタンディング ¥5,000(税込)
各プレイガイドにてチケット発売中
春奈るな LIVE 2016 “Christmas Special(仮)”
12月21日(水)【東京】TSUTAYA O-EAST Open 18:15/Start 19:00
料金:スタンディング ¥5,000(税込)
チケット一般発売:11月26日(土)
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