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REPORT

2016.02.09

夢舞台はアイマス初上陸の地・東北へ。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」仙台公演レポート!

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『アイドルマスター ミリオンライブ!』初のライブツアー「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」の仙台公演が2月7日、ゼビオアリーナ仙台にて開催された。

今回のツアーは名古屋・仙台・大阪・福岡・幕張の5会場7公演を巡るもので、『ミリオンライブ!』でいわゆる765プロ組以外で声がついているミリオンシアター組・全37人がどこかの公演に必ず参加する夢のツアーだ(ここまで復習)。開演前の前説諸注意で、事務員音無小鳥が「東北地方で初のライブです!」とアナウンスすると、会場からはどよめきの声があがった。ゼビオアリーナは収容人数は数千人規模だが構造は密集度のあるアリーナという、首都圏にもぜひほしいタイプの素晴らしい会場だ。

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ツアーの2番目、仙台公演に登場は、伊吹翼役のMachico、 箱崎星梨花役の麻倉もも、北沢志保役の雨宮天、七尾百合子役の伊藤美来、エミリー スチュアート役の郁原ゆう、篠宮可憐役の近藤唯、 望月杏奈役の夏川椎菜、中谷育役の原嶋あかり、松田亜利沙役の村川梨衣、横山奈緒役の渡部優衣の10人。仙台公演のリーダーは、伊藤美来と夏川椎菜。同い年の仲がいいコンビだ。

セットリスト全体の構成は名古屋会場と共通。しかし名古屋からの連続出場はMachicoだけということもあり、中身の楽曲はガラリと変わったものになった。今回も各ブロックごとの印象と、個人的な注目ポイントを紹介していこう。

かわいい!と元気!が交差する説明不要の第1ブロック<

M01:Dreaming!(全員)
M02:成長Chu→LOVER!! (夏川、伊藤)
M03:チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!(村川)
M04:グッデイ・サンシャイン!(原嶋)
M05:ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン(渡部優衣)
M06:little trip around the world(郁原、麻倉)

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「Dreaming!」では階段ステージ上に設置された5つのお立ち台に、ふたりずつが並んで登場。センターはもちろんリーダーの伊藤と夏川だ。前会場のリーダー・Machicoの立ち位置が二列目下手のリーダー・コンビに近い側で、名古屋の山崎と同じ位置に入っているのがちょっと興味深い。3rdライブ衣裳は長身の演者によく映えるのは名古屋でも感じていたが、この10人が並ぶと渡部優衣の足が長すぎるモデルのような長身と、身長139cmの原嶋あかりの明らかにちっちゃく、でもものすごく元気! な感じのコントラストが際立つ。曲中に夏川が代表して「プロデューサーさん! 今日はみんなでびびっときめちゃうよ!」と煽るのはリーダー制公演ならではの新鮮な光景だ。今回もオープニング挨拶はキャラクターとしての言葉からスタート。初登場の原嶋や、近藤のキャラクターとのシンクロぶりが特に際立った。

名古屋とちょっと構成が違ったのは、オープニングがリーダーコンビの「成長Chu→LOVER!!」からスタートしたこと。これはリーダー・コンビが「LTD」シリーズのデュエット曲でもコンビを組んでいればこそ。CD版よりもたっぷりとしたイントロの流れる中、暗転したステージに背中合わせの2人の姿が浮かび、細かくリズムを取る様子からふたりの高鳴りが伝わってくる。印象的だったのはふたりが「ラブしたーい!」の声とともに指で大きなハートを描く振りで、スクリーン上ではハートのエフェクトがかかった。LVではきっととても映える絵になっていたはずだ。オープニングにこの曲を持ってきたのは、リーダーとしても成長中のふたりという意味もあるのかな、と感じた。

ソロの頭には、いきなり個性と会場の盛り上がりが爆発する村川梨衣の「チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!」を持ってきた。実は仙台のカラーとして強く印象に残ったことのひとつが、村川、そして麻倉という天真爛漫で自由な個性がMCで躍動しまくっていたこと。その会話の流れの中に入ったり、掛け合いをしながら進行していったのが夏川と伊藤のサポート型リーダーだ。ミリオンにしては珍しく周りにツッコミ気質の人間が多かったこともあり、とてもいい感じにステージが流れていった。「チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!」のパフォーマンスも切り込み隊長役の飛び道具としては満点で、渡部優衣も「頭のなかでずっと流れている!」と語っていたほどだ。

ミリオンの大きなライブは初参戦の原嶋のソロ曲は「グッデイ・サンシャイン!」。上手サイドの花道にダンサーふたりが手を組んでゲートを作り、そこをくぐって原嶋が登場。小柄な彼女が歌いながら、元気な大股でステージ中央に歩んでいく姿が完全に育が重なるようだった。MCでは夏川が「あかりちゃんはサイズがちょうどいい」と言いながら麻倉と一緒に原嶋を抱きしめたりも。年長の原嶋を末っ子扱いするノリに原嶋がしょーがないなーという感じもありつつのっかっていくのは、お互いの気遣いが感じられてほんわかとした。

渡部が「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」で「ハイハイハイハイ!」と奈緒のノリで入ってくるとステージがぱーっと明るくなる。強烈だったのが間奏で、「いくでー!」の声からエアギターを交えて客席を煽りまくる。ダンサーを従えての動きは本当にキレキレ。前会場・名古屋公演のリーダーMachicoと次公演・大阪公演のリーダー・渡部のふたりは仙台ではあまりがんがん前に出る感じではなかったが、この曲の動きのダイナミックさと爽快感は渡部優衣ここにありを存分に感じさせた。

エミリーと伊織のデュエット曲「little trip around the world」は、釘宮のパートを麻倉が担当。まさにかわいいとかわいいの二重奏だが、控えめなエミリーが胸を高鳴らせたかわいさ、に合わせる麻倉と、後の曲で渡部優衣のストレートで元気いっぱいなキュートさに合わせた麻倉では、かわいさのトーンが意識的に変わっている感じがして興味深かった。全体的に楽しいなー幸せだなーと音とパフォーマンスにひたっていると、気がついたら終わっているような、そんな第1ブロックだった。

ステージで歌うという「当たり前」が新鮮だった第2ブロック

M07:G♡F(近藤、原嶋)
M08:Sentimental Venus(渡部優衣、夏川、郁原)
M09:STANDING ALIVE(雨宮、近藤)
M10:夢色トレイン(麻倉)
M11:VIVID イマジネーション(夏川) 

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そう来たか!という感じだったのが「G♡F」で、律子のかわいさ、女の子の一面にめいっぱいフォーカスしたパートを原嶋が担当した。「一番かわいい律子」と「だいぶ背伸びをした育」の表現がステージでニアミスする感じはとても新鮮だ。かわいい極振りの律子と可憐の声はシンクロするほど似ていて馴染むのに比べると、近藤と原嶋の表現は少し違っているがぴったりで、年の離れた姉妹のようだ。この曲を途中で全部持って行ったのが原嶋のキャラクターセリフの部分で、「そんなとこも好きなんだけどね!」の背伸びした少女感がとにかく最高でかわいさ二十割増しだった。

「Sentimental Venus」は、2ndライブで両日歌った渡部優衣、夏川のおなじみのコンビに今回は郁原が加わった。ファニーな渡部とカワイイに寄せた夏川のバランスがあまりにもぴったりで安定しているため、3人目に加わるメンバーが加えるアクセントがその日のこの曲のイメージを決める印象がある。その意味では郁原のちょっと線が細くけなげに頑張る表現は新しい色合いだ。2ndライブ二日目で渡部と夏川は音響機材トラブルによる演奏のストップを会場とのアカペラ大合唱で素晴らしいドラマに変えてみせたが、今回は万全の素晴らしいパフォーマンスである意味リベンジを果たしたと思う。

ARRIVEのユニット曲「STANDING ALIVE」は、ARRIVEのリーダー・篠宮可憐を演じる近藤と雨宮 天が歌唱。ミリオンでは青の歌姫の一角を占める実力派の雨宮だが、この曲ではハイトーンで柔らかく寄り添っていくような新しい表情を見せた。志保としての雨宮が見せた柔らかさと、それを包みこむような近藤のしなやかな強さ。それはそれぞれが単独で歌ったのでは生まれなかった表現な気がした。

麻倉の「夢色トレイン」。2ndライブではトロッコの先頭に立って会場を縦横無尽に動き回る彼女のかわいさが印象的だったが、今回はステージ。ダンスに関してはダンサーにある程度委ね、ステージにしっかりと足をつけて歌と表現に専念していた。表現に集中する麻倉から改めて感じたのはパフォーマンスの圧倒的な安定感だ。間奏のオルゴールの人形のようなダンスではダンサーと一体になった動きを見せ、間奏やギアアップ前には星梨花としての煽りを入れ、最高にかわいくて、かわいいのにすごい、麻倉ならではの世界を見せてくれた。

「夢色トレイン」と同じく、近くで感じられるトロッコもいいけど、ステージにしっかり立っての万全のパフォーマンスはやっぱりいいな!と感じたのが夏川の「VIVID イマジネーション」で、ステージ・モードの杏奈のかわいさと、見つけてもらいたがっている杏奈の心情を丁寧に込めた歌声を、弾けるようなダンスと共に感じることができた。夏川の「今日もビビッとパーフェクト!」のフレーズがいつもより三倍ぐらいテンションが高く、本当に気持ちよさそうで、多幸感に包まれた前半の締めだった。

輝く笑顔で夢を紡いだ第3ブロック

765プロカバーコーナー
M12:shiny smile(夏川、Machico)
M13:DREAM(郁原、近藤)
M14:いっぱいいっぱい(村川、原嶋)
M15:バレンタイン(麻倉、渡部優衣)
M16:Vault That Borderline!(雨宮、伊藤)

ミリラジで募集したアンケートを元に選ばれた765プロ楽曲をカバーするコーナー。夏川が「輝く笑顔で行きますよー!」と予告すれば、歌うのはもちろん「shiny smile」だ。担当は夏川と、実はここが初の出番となるMachico。「shiny smile」は『アイドルマスター2』の我那覇響の持ち歌だが、明るく元気な女の子が見せるおだやかで優しい一面という表現は翼にもしっくりと来る。何よりも印象的なのはふたりの笑顔で、客席に小さく手を振りながら顔をくしゃっとさせる夏川のそれはまさに「輝く笑顔」だった。このふたりの組み合わせは、名古屋公演のリーダーから仙台公演のリーダーにバトンを渡す意味もあったのかもしれない。

キャラクターとは路線が違う曲をカバーすることで、違う魅力が見えたのが郁原と近藤の「DREAM」だった。しっかりと足を踏みしめたびしっとした立ち姿が印象的で、パフォーマンスからは近藤が秘めた熱い情熱と、郁原のはかなさが同居する妖艶さを感じた。歌い終えた近藤の「ダンサーさんを見て、(自分も)妖艶を連れてこなきゃと思いました」という言葉が微笑ましかった。

カバー先とのキャラクターの関わりを一番感じたのは村川と原嶋の「いっぱいいっぱい」で、村川演じる亜利沙の憧れの存在・律子の楽曲をカバーした。両サイドの花道に現れたふたりが、律子リスペクトの眼鏡姿であることに気づいた客席は大喜びだ。楽しそうに客席を煽るふたりはただただかわいい。歌っているふたりも楽しくなってきたのか、「さぁ! さぁ!」からの一連の煽りは元のキーをすっ飛ばしたうわずり方で、勢いに任せて客席を煽りに煽った。そんなふたりのテンションに、客席もラストはもちろん「大好きー!」の大合唱で応えたのだった。

あっと驚いたのは、麻倉と渡部優衣の「バレンタイン」。最近のプロデューサー諸氏は初聴の人もいたと思われる曲だが、個人的にはこのタイミングでのこの曲の披露はぐっとくるものがあった。この曲が初めてお披露目されたのは、8年前、2008年1月に東品川・旧未来研究所で行なわれた新曲発表会だった。ナムコ・サウンド・チームが手がける楽曲が中心だった当時のアイマスにおいて、アキバのアイドル文化の旗手・桃井はるこが手がけるサウンドはとても斬新だった。「バレンタイン」の初公開を含め、アイマスの歴史の多くを見届けてきた旧未来研は、先刻取り壊しが始まったばかり。このタイミングで「バレンタイン」が6年ぶりにアイマス・ライブのセットリストによみがえったのは、とても感慨深かった。だが、さすがは桃井はるこ楽曲である。その普遍的なアイドル性は全く色褪せることなく、麻倉、渡部優衣のキラキラ感と合わさった感じはまさに無敵。一回で覚えられる「ゆい㌧!」「もっちょ!」のコールが飛び交うキャッチーなステージは、予習の要らない楽しさだった。

カバーコーナーのラストは雨宮と伊藤の「Vault That Borderline!」。名古屋公演でも「START!!」や「ゲンキトリッパー」などタイトルにメッセージ性を感じなくもなかったが、境界を超えて新たな場所を目指すこの曲ほどツアーにふさわしい楽曲はないだろう。何故この曲が雨宮と風の戦士伊藤なのかについては、歌詞中の「あのソラに向かって」「あの風の向こうへ」に答があるような気がする。この曲特有の一癖ある言葉運びの中で、伊藤が単語に強いイントネーションを乗せるとはっとするほど印象的に響く。そして国境の向こうに手を差し伸べる雨宮の、視線のその先をイメージさせる力。カバー・コーナーのラストにふさわしい素晴らしいステージだった。

「表現力」に特化して冴え光る最終ブロック

M17:夜に輝く星座のように(村川、渡部優衣)
M18:恋のLesson初級編(Machico)
M19:ライアー・ルージュ(雨宮)
M20:Legend Girls!!(伊藤、麻倉)
M21:Helloコンチェルト(原嶋、村川、Machico)
M22:piece of cake(雨宮、Machico)
M23:ちいさな恋の足音(近藤)
M24:君だけの欠片(郁原)
M25:空想文学少女(伊藤)
M26:カワラナイモノ(伊藤、夏川)
M27:Welcome!!(全員)
M28:Thank You!(全員)

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休憩なし、アンコールなしで楽曲をぎゅっと詰め込んだ今回のツアー。一気に畳み掛けるラストブロックは、村川と渡部優衣の「夜に輝く星座のように」でスタート。本曲を収録した「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 05」のリリースイベントは2月27日の予定。つまり最新デュエットの初披露をこのタイミングに持ってきたわけだ。CD音源ではキュートな声質とアダルトな曲調のギャップが魅力な印象だったが、挑発するようなハンドアクションを交えてふたりが見せる表情はとても蠱惑的だ。渡部優衣がドキッとするほど冷めた眼差しを見せたり、村川が挑みかかるような獰猛な笑みを浮かべたり。MCでの渡部優衣のカラッとした明るさや村川の天真爛漫さとのギャップは絶大で、ゆかいなMCもこの曲を見せるためにあったのではと思うほど狙いすました一撃だった。

Machicoの「恋のLesson初級編」は、ダンサーふたりとチアのポンポンを持っての華やかなステージング。間奏ではダンサーと肩を組んでのラインダンスを見せたり、ダンサーと一緒に低めのミニステージからとぴょんと飛んだりと、華やかさと勢いがよりパワーアップしていた。あと、このツアーでもよくネタにされるおへそを出した衣裳、前より少しお腹を出すように衣裳をアレンジしていた気がする。

そして予想外のタイミングで撃ちぬかれたのが雨宮の「ライアー・ルージュ」だった。『ミリオンライブ!』のイベントに出始めた頃から歌っている間の表現力には傑出したものがあった雨宮だが、この日の「ライアー・ルージュ」はまた一歩凄みを増していた気がする。さらに圧巻だったのはラスト周辺で、「まっすぐ見つめる瞳を」のあたりだっただろうか。歌いながら伏し目がちに表情をうつむかせ、長いまつげをふるわせるたっぷりとした溜め。その佇まいに思わずアップで見えるスクリーンの側に視線を移したその瞬間、「まっすぐ見つめる瞳を」で瞳を大きく見開いて、迷いなくセンターカメラを射抜いた視線。スクリーンに視線を誘導された、あるいはLVで同じ映像を見ていた人なら、彼女が狙った通りのタイミングで“瞳が合い”、その奥まで射抜かれる感覚を味わったのではないだろうか。あの総毛立つような感覚をこのツアーでまた体験できるだろうかと思わされてしまった。

「Legend Girls!!」を歌う伊藤と麻倉は、ひょっとしたら今回のメンバーでもいちばんアイドル性の純度が高い組み合わせかもしれない。ふたりが放つ輝くようなきらめきと、弾むようなコールアンドレスポンスの多幸感で満たされた空間。サイドカメラが映しだした、強い光の中に溶けていくようなふたりの立ち姿は、たしかに「伝説」を感じさせる少女たちだった。歌い終えて、笑顔のままちょっと唇をかむような麻倉のよぉし、やったったという感じの表情が、とにかく天使だった。

途方も無いパワーを感じたのが原嶋、村川、Machicoの「Helloコンチェルト」だ。「LTP09」のオリジナルメンバーは村川だが、基本センターは原嶋。シルエット的には小柄な彼女中心が明らかにしっくり来るが、それだけでなく無尽蔵の元気を秘めた原嶋の両側を、カラーの違うエネルギーの持ち主の2人が固めるのが確かに一番バランスが良く感じる。だが元曲で律子が担当した「レディースエーンドジェントルマーン!」からの煽りをケレン味たっぷりに叫んだのはもちろん村川で、本当に嬉しそうだったのが印象的。これは確かに、世界一元気になっちゃうコンチェルトだった。

前曲からMachicoがそのまま残り、雨宮を迎え入れて続けたのは「piece of cake」。Machicoは原曲の平山とはかなり歌声のカラーが違うが、雨宮の優しい歌声との相性は上々。そして甘酸っぱい恋の歌といえばまさに伊吹翼のフィールド。ここぞとばかりに翼なりの「piece of cake」の表現が全開で、一番印象に残ったのは大好きな人を思い浮かべるようなMachicoの笑顔。やっぱり大人しくサポート役だけで終わる翼とMachicoではないのだった。

近藤唯がずるいなぁと思うのは、やや気弱で人見知りな女性が勇気を振り絞ってステージに立つ…という可憐がそのままステージに立つような佇まいが、近藤自身の素にとても近いということ。「ちいさな恋の足音」でそんな彼女が胸元に小さな拳を当て、胸に生まれた小さな自信を確かめるように歌う姿が響かないはずがない。客席の観客一人一人を見つめるようにしながら訴えるように歌う姿は本当に可憐と重なって見えた。

この曲に賭ける想いと気迫。それが一番まっすぐに届いてきたのが、郁原の「君だけの欠片」だった。一曲の物語のようなステージは、膝をついて正座風のポーズからスタート。やがて立ち上がり、歩き出し、歌詞とシンクロするように舞台の照明が光を増していく。一番のサビに至る流れで静かに力強さを増していく感じは聴き応え十分だったが、それが抑制が効いたものだったことは後半ではっきりしてくる。トーンを抑えながらも軽くしゃくるように印象的に響かせるのが非常にうまいのだと思う。楽曲全体の盛り上がりにつれて、郁原の歌声はより確かに、より力強くなっていく。間奏のはにかむような微笑みからつなぐ落ちサビは、存在が透き通って歌声に溶けていくような透明感。そして歌い終えると、最後はまた膝をついて、優雅に一礼。エミリーをステージに立たせるんだという郁原の意志を感じるステージだった。

「piece of cake」「ちいさな恋の足音」「君だけの欠片」。優しくもはかなく、美しいクライマックスの流れをリーダーとして受けるのは、伊藤の「空想文学少女」だ。4人のダンサーに囲まれて、伊藤のダンスは静か、と言ってもいいぐらいのもの。だがそのなかで、指先まで表現の意志が通っているのを感じる。シンプルなステップを踏んで、ちょっと足に角度をつけて客席をすっと指差す。それだけで香り立つような「アイドル」感があるのは魔法のようだ。百合子の中で紡がれる物語の世界を、彼女をまとった伊藤がステージの上に表現してみせているように感じた。

ここでステージに伊藤が残ったまま、上手からパートナーの夏川が登場。「カワラナイモノ」は「LTP07」であずさたちが歌っていた楽曲だが、大人になっても一緒にいられることを祈り、変わらないものがあると信じるこの曲と、17歳の頃から同じ年の仲間として一緒にミリオンで頑張ってきたふたりの関係は驚くほど重なる。少し時系列は前後するが、ステージ全体のラスト、「帰りたくないね!」と笑い合い、抱き合って、手をつないだふたりからは、確かに「カワラナイモノ」を感じたのだった。

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ラストの2曲は「Welcome!!」と「Thank You!」。リーダーふたりもこの曲ばかりは先頭に立って会場をどんどん煽っていく。サイドの花道のカメラを指差す夏川と麻倉のところに原嶋が駆け寄って、抱きしめあってもみくちゃになっている様子が仙台公演の雰囲気をよく表していたように思う。輪の中で穏やかに和やかに、周りと支え支えられする若きリーダーたち。そんな彼女たちならではの公演だった。「プロデューサーさんたちの作る虹色の光が、私たちを仙台までつれてきてくれました。これからも皆さんの応援で、たくさんのステージにつれていってください!」(夏川)。

Text By 中里キリ

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!! @NAGOYA0131
2016.02.07 ゼビオアリーナ仙台

<セットリスト>
M01:Dreaming!(全員)
M02:成長Chu→LOVER!! (夏川、伊藤)
M03:チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!(村川)
M04:グッデイ・サンシャイン!(原嶋)
M05:ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン(渡部優衣)
M06:little trip around the world(郁原、麻倉)
M07:G♡F(近藤、原嶋)
M08:Sentimental Venus(渡部優衣、夏川、郁原)
M09:STANDING ALIVE(雨宮、近藤)
M10:夢色トレイン(麻倉)
M11:VIVID イマジネーション(夏川)
765プロカバーコーナー
M12:shiny smile(夏川、Machico)
M13:DREAM(郁原、近藤)
M14:いっぱいいっぱい(村川、原嶋)
M15:バレンタイン(麻倉、渡部優衣)
M16:Vault That Borderline!(雨宮、伊藤)
M17:夜に輝く星座のように(村川、渡部優衣)
M18:恋のLesson初級編(Machico)
M19:ライアー・ルージュ(雨宮)
M20:Legend Girls!!(伊藤、麻倉)
M21:Helloコンチェルト(原嶋、村川、Machico)
M22:piece of cake(雨宮、Machico)
M23:ちいさな恋の足音(近藤)
M24:君だけの欠片(郁原)
M25:空想文学少女(伊藤)
M26:カワラナイモノ(伊藤、夏川)
M27:Welcome!!(全員)
M28:Thank You!(全員)

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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